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「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」神山健治監督に聞く、手描きアニメーションならではの強み

映画.com / 2024年12月25日 10時0分

――ヘラは滅亡の危機に瀕した王国の運命を託されることになります。内面的な部分のキャラクター作りでは、どんなことを意識されましたか?

 よくある、戦うヒロインにはしないようにしましょうと話しました。そのうえで、フェミニズムを強調しすぎたり、ただのラブストーリーにもしないよう気を配りました。キャラクターを肉付けしていくとき、原作の設定がしっかり作られているからこそ、オリジナル要素がトールキンの原作と違和感がないように、フィリッパとは何度も話し合い、最終的には僕の方で背景を肉付けしていきまいた。

 ヘルム王はヘラが産まれた時にどう思ったのか? お母さんがいないのはヘラが産まれた後に亡くなられて、ヘルム王はそのことをどんな風に受け入れたのか。ヘルム王としては子どもたち全員を愛していて、ヘラのことも溺愛している。ヘラに家を継がせることはできないけれど、もしかしたらヘラが一番王様に向いているって思っていたんじゃないかとか、そういったバックストーリーを考えていきました。

――監督自ら絵コンテも全て手掛けられました。ご自身の希望だったのでしょうか?

 アニメ映画の場合、各キャラクターを演じるのは監督なんです。キャラクター全員の心象を1回自分で追体験して、その人になって映画を観ていかなければいけない。声を当てている俳優はいますが、その役を自分として演じる実写とはまた少し違って、しゃべっていないところは監督が作らなければなりませんから。なので、通しで絵コンテを描かないとキャラクターが揺れちゃう。特にウルフは複雑なキャラだったので、そういう部分を一貫するためにも、今回は通して描かないといけないと思いました。

 ただ、物量で言うとめまいがするくらい大変で(笑)。感覚としてはこの映画を『3回〜5回撮った感じ』ですね。まず絵コンテとして1回、その後コンテムービーに合わせてプレスコ(※映像より先に音声を録音・収録すること)をして2回。それをもとにモーションキャプチャーを使用して全シーン撮影、そのデータを使って次はカメラを置いてCGシーンで全カット撮影、それを元に手描きによる作画で全カット演出。3年間で5回くらいこの映画を通しで撮ったイメージです。大変でしたが、映画の世界に集中して入り込めるのは、映画を撮る1番の醍醐味でもあります。それを5回もやれたのは本当に楽しかったですし、楽しいと思えたからやり切れたんだと思います。

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