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「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」神山健治監督に聞く、手描きアニメーションならではの強み

映画.com / 2024年12月25日 10時0分

■アニメが持つポテンシャルとは? 本物になれないからこそ、本物っぽさをスパイスとして追加

――そんな大変な作業を経て本作が完成した今、日本の手描きアニメーションならではの強みを感じた部分はありますか?

 映像にはそれぞれの意味性があって実写は実写、CGはCG、手描きは手描きで、同じものを描いてもそれぞれ観客に与える印象が違うと思うんです。手描きのいいところは、全部が絵(嘘)なので、ちょっと本当のことを入れることによってリアリティーが増す。実写は一応全部が“本物”なので、ちょっとでも嘘が入ってくると映っているものがリアルであるがゆえに、途端に嘘っぽくなってしまうんです。CGはCGで、なんでもできるからちょっとリアルにしたくらいでは説得力が出にくいという特徴がある。手描きのアニメはリアルになれないからこそ、“本物っぽさ”をスパイスとして入れることで、すごさがより引き立つと思います。

 わかりやすい例では、実在の商品や実際にある街を登場させるとかですかね。見たことがあるものが手描きの絵で出てくると、アニメを観ている人に「この世界は実在するんだ」と思ってもらえる比較的容易な手法です。僕もよく使いますが、ファンタジーのときはそういうことができない。昨今本格的なファンタジーやSFが作りにくいのは、そういう理由もあると思います。うまくやっている作品もたくさんありますが、別の方法で説得力を持たせているんだと思います。

 「ロード・オブ・ザ・リング」の場合は、実写映画と提携している点を活かして、三部作に登場した舞台を共有することで、実在感を補っていましたし、そのほかにもCG空間にカメラを置いて実写のようなカメラアングルや、ライティングを施して、アニメだけれど実写のような感覚をえてもらえないかという表現にも挑戦をしています。

■どうしてアニメ? 疑問を覆すクオリティーに自信「実写と遜色ない映像が作れた」

――実写の「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズファンの方へ向けて、アニメーションならではの本作の魅力を教えてください。

 実写シリーズのファンの方のなかには、普段アニメを観ない方もいると思います。アニメのいいところは、先ほども言ったように全部が絵(嘘)なので、一度その表現のルールに入り込めば、リアリティーという壁にぶつかって現実に引き戻されることがないところです。

 実写シリーズのファンの皆さんからすると、「どうしてアニメなの?」っていう疑問もあると思います。でも、アニメだからこそ豪華に感じられる、全部手で描かれているがゆえに感じる凄みがあると思います。普段アニメを観ない方でも、何か違った凄みのある映像が作れましたと思っています。アニメの「ロード・オブ・ザ・リング」もいいなと思ってもらえたらいいですね。

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