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日本映画市場における中国人観客の存在感 大勢の“絶対に劇場で見たい”ファンが映画祭に集結していた【アジア映画コラム】

映画.com / 2025年1月16日 20時0分

 一方、ラインナップ発表会の時から、中国の映画ファンはすでに盛り上がっていて、いち早く最新の中国映画を見たいがため、映画祭期間中に、中国国内から日本に来る観客も大勢いました。日本で暮らしている中国人もいち早く情報を得ていましたので、チケット争奪戦は避けられない状況。チケット発売直後、中華圏映画の上映回はほとんど完売となりました。

 なぜここまで熱狂的なのでしょうか。まず要因として挙げられるのは、中国映画市場の成長とともに、多くの若いシネフィルが生まれたこと。それぞれが積極的に国際映画祭に参加し、映画を見たり、映画について話したり、映画人と交流したいと思っているので、世界中どこの映画祭に行っても、中国の映画ファンに出会えるはずです。実際、私も映画が見たいために、毎年海外の映画祭に参加しています。その場で知り合った方々と話すのは、とても楽しかったです。

 もう一つは、中国における東京国際映画祭のブランド力です。

 日本国内では、東京国際映画祭の“存在感が薄い”といった批判がありますが、中国では東京国際映画祭は“世界三大映画祭”に次ぐ国際映画祭として認識されています。なぜなら、東京国際映画祭は三大映画祭とは異なる視点で素晴らしい中華圏映画を世に送り続けているからです。「古井戸」「青い凧」「クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」「暖 ヌアン」「鋼のピアノ」「ブッダ・マウンテン」「風水」などなど……。東京国際映画祭で選ばれた中国映画であれば「絶対に見たい!」と思う中華圏の映画ファンは多くいるんです。

 近年、中国映画市場の規模が急拡大しており、映画の製作費やスケールもどんどん大きくなっています。昔のようなインディペンデント映画寄りの“作家映画”は少なくなっていますが、中国の監督たちは“大規模製作+スター出演の作品をどのように調理するか”と常に模索し続けています。

 今回の東京国際映画祭で観客賞を受賞した「小さな私」は、2024年末に中国で公開され、興収はすでに6億元(約120億円)を超える大ヒットとなっています。ドキュメンタリー作品出身のヤン・リーナー監督は、脳性麻痺を患う青年の成長を丁寧に描き出しています。SNSフォロワー1億人を持つイー・ヤンチェンシー(「少年の君」)は、俳優としての覚悟を決め、見事に難役を乗り越えています。

 東京でワールドプレミアが行われたとき、会場内の半分以上は中国の観客。会場外の有楽町駅前の看板広告には、イー・ヤンチェンシーのファンによる応援メッセージが飾られていました。国際性という視点から見ると、これはとても良いことだと思っています。アジアで開催される国際映画祭ですから、東京国際映画祭であれ、釜山国際映画祭であれ、上海国際映画祭であれ、アジアのお客さんがどんどん参加するということが非常に重要であり、良い映画交流が生まれるきっかけになるに違いありません(唯一の懸念は、中国語映画を見たい日本の映画ファンがなかなかチケットを取れないことかもしれません)。

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