“人生における困難から目をそらさないこと”ティルダ・スウィントンが語る、ペドロ・アルモドバル監督作の普遍性と死への向き合い方
映画.com / 2025年2月1日 10時0分
そこで、イングリッドの立場がいかに貴重なものであるかが明確になります。私は何度もイングリッドの立場を経験していますが、経験があっても、その価値と、マーサを助けることができるかどうかということについては、何もわかりませんでした。でも、マーサの立場になったとき、ただそこに誰かがいてくれるだけで、何もする必要がないのだと、今ならわかるのです。
そこにいることが“すべて”なのだと。そこにいて、何もしない、何もしようとしないことが本当に重要です。そのような状況で一番避けたいのは、自分にできることが何もないのに、主体性を持とうと騒ぎ立てることです。私は自分の母が末期がんで死の淵にいたときのことを思い出しました。死は野蛮で、時にはサディスティックなもののように感じられます。当時母は83歳で、ずっと良い人生を送っていたので、何かできないものだろうか? と当時の私は必死にいろいろと考えました。
でも、マーサのような立場になったときに必要なのは、ただいるだけの人なのです。無力感に寄り添い、そのプロセスを認め、絶対に受け入れるという優しさ。そして、目をそらさないということは、本当に重要なことだと思うのです。考えれば考えるほど、これはペドロ(・アルモドバル監督)の作品の包括的なテーマでもあるとわかりました。人生における困難から目をそらさないこと、彼はいつもそういったテーマで映画を作っています。多くの彼の映画のプロットはとても普遍的な物語です。この作品では誰かが性別を変えたり、ハイヒールを履いて街を走ったりもしません。観客の誰もが経験することが描かれていますし、誰もがいつかはこのような状況に陥るのですから。
――本作のテーマのひとつである尊厳死、自分で自身の死を決めることについて。
私は安楽死や自殺という言葉を使うことにためらいがあり、尊厳死という言葉を使います。こう言うと少し冷たく、語弊があるかもしれませんが、魅力的なテーマだと思うのです。私たちの特定の社会が持っている思い込みを解き明かす機会を与えてくれるからです。それは死についてではなく、生きることについてであり、それが地球のさまざまな地域、社会で今後どのように展開されていくのかはとても興味深いことです。
――シーグリッド・ヌーネスの小説「What Are You Going Through」が原作です。アルモドバル監督から、なぜこの作品を自身の映画のために選んだのか説明はありましたか?
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