“人生における困難から目をそらさないこと”ティルダ・スウィントンが語る、ペドロ・アルモドバル監督作の普遍性と死への向き合い方
映画.com / 2025年2月1日 10時0分
この映画「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」の物語は、原作小説の中の、わずかなエピソードに過ぎないのです。イングリッドのキャラクターが旧友と同じような出会いをする小さな場面だけで、結末は異なります。その箇所に、ペドロはインスパイアされてこの映画に変えたのです。ですから、原作の厳密な映画化ではありません。
そして、この映画は“痛みと栄光”を描いた作品でもあります。ペドロは、自身の過去作からテーマを拾い、また別の作品でそれを発展させるアーティストの一人です。彼の創作は常に循環し、拡大し続けています。ペドロの「ペイン・アンド・グローリー」では旧友同士が再会します。彼はその物語をもう少し先に進めたのです。そして、定かではありませんが……きっと彼は、シーグリッド・ヌーネスの小説のそういった部分に触発されたのでしょう。
私が原作小説を読んだときにピンときたことのひとつは、私がどんな状況にあっても、最終的に完全に不滅であると感じられる3つのこと――それによってマーサの命を維持できるとわかったのです。それは、仲間であること、友情、そして芸術<fellowship,friendship,and art>です。私は人生の中で、この3つは決して裏切らないものであると、ずっと感じてきました。それをこの映画の中で表現できたことは、特別な喜びがありました。
――短編「ヒューマン・ボイス」(20)に続き、今作は最初の長編アルモドバル作品で、あなたの母語である英語で演じています。アルモドバル映画に参加しての感想をお聞かせください。
とても面白い経験でした。「ヒューマン・ボイス」でペドロのような尊敬する映画監督と一緒に仕事をして、モニターを覗き込んでみたとき、そのフレームに私が入ってくるなんて、クレイジーだ、と思ったのを覚えています。
私は、彼のフィルモグラフィをすべて知っているし、よく使われる色も、赤いキッチンや家具の一部も知っています。異なる映画でも同じものがよく出てくるのは、彼のアパートにあるものだからです。そして、登場人物が別の映画で再登場することもよくあることです。
「ヒューマン・ボイス」を作ったとき、彼が私を必要としていることが信じられませんでした。私はスペイン人ではないし、グラマーな黒髪の美女でもないですから、ペドロ・アルモドバルの映画の世界の人間ではないと思っていました。ましてや2本も映画に出演するなんて思いもよらなかった。だから奇妙だと思っていましたが、実際にスペインに行って、様々なものを見て、アルモドバルの世界を理解することができました。
――「ザ・ルーム・ネクスト・ドア」は死をテーマにした作品ですが、あなたはフィルムメイカーとして生きる喜びを「CHANEL and Cinema TOKYO LIGHTS」でのトークで語りました。日本をはじめアジア諸国でよく知られる仏教用語で輪廻転生という考えがありますが、もし今の人生の後に生まれ変われたとしたら、あなたはまたフィルムメイカーになりたいですか?
あなたがその質問を言い終わる前に、私がなりたい動物のいくつかを頭に思い浮かべていました(笑)。また人間になるなんて考えてもいません。そうですね……やはり動物ではなく、大きなシカモアや樫の木がいいですね。未来では生物が進化して、映画制作をする樫の木になっているかもしれません。
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