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オノ セイゲンPresents<映画の聴き方> Vol4.極上の音で鑑賞する名作「ニュー・シネマ・パラダイス」鼎談 インターナショナル版と完全オリジナル版の違い、フェリーニの影

映画.com / 2025年2月6日 11時0分

山本浩司 ええーっ!? 全然分からなかった!

小沼 分かるはずないよね。あれから36歳くらい年を取ってるわけだから。僕だって俳優のクレジットを見て、「ん? ブリジット・フォッセー? どこに……ああーっ!」って感じで(笑)。だから、その配役にも、映画文化への鎮魂、みたいなメッセージが込められてる。

山本 なるほどね。<完全オリジナル版>のディスクに入ってる監督のコメンタリーでは、イタリア映画界の大女優シルヴァーナ・マンガーノも候補だったらしいけど、フォッセーで正解だったかもしれない。考えてみれば、フォッセーも、大人になったトトを演じるジャック・ペランも、そしてアルフレードのフィリップ・ノワレも全員フランス人。

オノ この映画もそうだけど、昔の映画は全部アフレコ。

山本 フェリーニなんて、外国語の俳優には撮影中に数を数えさせてたって逸話もあるね。

オノ 2つのバージョンの違いって実はその後半のくだりだけじゃなくて、<インターナショナル版>ではあちこちのシーンの端々もコマ単位で174箇所も摘まんで、それで尺を縮めてテンポアップを図ってる。一部を除いて音声のダビング(=ミックス)をやり直したりする時間もなかったんじゃないかな。モリコーネ・ファンからすると、やはり<完全オリジナル版>で観た方がストレスがない。

小沼 やはりこの映画の大きな立役者は、モリコーネの音楽だからね。

オノ 特に「メインテーマ」と「愛のテーマ」はどれだけクラシックやジャズのミュージシャンにカバーされたか分からない、というくらいポピュラーになった。しかし曲だけカバーする音楽家は、必ずこの<完全オリジナル版>を聴き込んでモリコーネの音色と歌い方を理解した上で、楽譜を解釈しなおした上で演奏してほしい。演奏テクニックを見せる音楽じゃないんですよ。そのシーンに書き込まれた感情を理解して、その上で演奏してほしい。できれば監督コメンタリーもしっかり読んでからね。

山本 チャーリー・ヘイデンとパット・メセニーのデュオ大名作「ミズーリの空高く」なんて、その2曲両方やってるもんね。

小沼 今回のBlu-rayの音声、セイゲンのマスタリングのおかげもあってか、コントラバス奏者たちの演奏が、重低音が出ているし、ひとつひとつのうごきがはっきりわかる。片や、ピチカートの粒だちも素晴らしくて、モリコーネのオーケストレーションの魅力が存分に味わえるね。

オノ 何も加えてない。録音されているハーモニー、演奏が見えるように。

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