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オノ セイゲンPresents<映画の聴き方> Vol4.極上の音で鑑賞する名作「ニュー・シネマ・パラダイス」鼎談 インターナショナル版と完全オリジナル版の違い、フェリーニの影

映画.com / 2025年2月6日 11時0分

山本 この映画、一回観ると、しばらく音楽が頭から離れないよね。ここぞという場面でしつこいくらいにテーマを聞かせてくるからさ。

▼フェデリコ・フェリーニの影

小沼 さっきフェリーニの名前が出たけど、フェリーニの映画、特に初期の頃の映画って、背後で教会の鐘の音がしてることが多い。イタリアってカトリックの国だからね。で、この映画もまた、ありとあらゆる場面で「鐘の音」がとても重要な役割を果たしてる。冒頭で、大人になったトトが過去の回想を始めるところも、風鈴というかウィンドチャイムの音がきっかけになっていて、そこから教会で居眠りしているトトに繋がるでしょう? トトの役割はお祈りの途中で小さな鐘を鳴らすこと。そしてその小さな鐘を、今度は神父がキス・シーンやラヴ・シーンをカットさせるための試写で鳴らしたり。なんか、そういうシーンとシーンの繋ぎが上手い映画なんだよね。これは音だけでなく、映像の繋ぎもね。

オノ まだ観てない人にはネタバレになっちゃうけど、最後にそのカットされたキス・シーンが繋がれたフィルムを、トトが試写室で観るじゃない? その映写技師の役を実はトルナトーレ監督はフェリーニに依頼したんだってね。だけどフェリーニは「こんな感動のクライマックスに面が割れてる自分が出たら興覚めだから、君がやれ」とアドバイスした。

山本 あそこで一瞬映るのはトルナトーレ監督本人なんだ。

オノ さすがフェリーニだよね。確かにこの頃にはもう、フェリーニは巨匠中の巨匠だから。

小沼 この映画はフェリーニに多くを負ってる。特に「フェリーニのアマルコルド」(1973)だね。そもそも「ニュー・シネマ~」のプロデューサーのフランコ・クリスタルディって、「アマルコルド」や同じフェリーニの「そして船は行く」(1983)の製作もやってる人だよ。引用を明らかにしていくと、お婆さんになってからのトトの母親を演じているプペッラ・マッジョはその「アマルコルド」で主人公の母親を演じた人だし、少年たちが集団で自慰行為をしてる場面もあったし、怖い先生の授業風景なんかも「アマルコルド」に全く同じようなシーンがある。

山本 あのお馬鹿なボッチャが、まさか後でああなるとはなあ……(笑)。

小沼 という顛末は<オリジナル完全版>でしか分からない(笑)。僕は小学校の時からフランス語の授業がある学校に行ってたんだけど、その先生のフランス人女性がまさにスパルタで、ヨーロッパの初等教育ってみんなあんな感じだったんだろうな~って、トラウマが蘇って脂汗が出てきたよ(笑)。

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