記憶の中に閉じ込められた母。金山貴宏の写真に見る“家族”の在り方【NADiffオススメBOOK】
FASHION HEADLINE / 2017年2月23日 19時30分
木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、金山貴宏の『While Leaves Are Falling...』。東京・恵比寿の東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)によるご紹介です。
■『While Leaves Are Falling...』金山貴宏
「その日は、突然やって来た。その日以降、私が知るそれまでの母は私の記憶の中に永遠に閉じ込められることになる。」(金山貴宏)
本書は、ニューヨークを拠点として活動している写真家・金山貴宏が、母親と二人の叔母を撮影した写真をまとめたものである。
金山の母親は彼が20歳になって間もないころに統合失調症を発症した。そして祖母の死をきっかけとし、彼は家族の写真を撮り始めた。
家族を撮るということは普遍的なテーマではあるが、金山の写真には視線や構図、距離感などから、被写体との独特な関係性が感じられる。
ページ見開きの写真の組み合わせ方や、写真集後半に古い家族アルバムから金山の幼少期の写真、母や叔母の若いころの写真が収録されていることで、「その日」以前と以後の変わってしまった世界と、変わらずそこに居る母という存在について、強く意識させられる。
金山の家族は特殊な境遇のように見えるが、誰しもが感じることの出来る“家族”の在り方が写しだされている一冊である。
【書籍情報】
『While Leaves Are Falling...』
著者:金山貴宏
版元:赤々舎
130ページ/310×220mm
発刊:2016年12月30日
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