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エスパス ルイ・ヴィトン大阪「Fragments of a landscape(ある風景の断片)」展にジョアン・ミッチェルの作品2点が追加

FASHION HEADLINE / 2021年6月29日 17時0分

建設関係者が多い環境で生まれ育ったカール・アンドレ(1935年-) は基礎的な素材を好んで扱い、それは前の世代が実践していた抽象表現主義への反応の表れとも言えます。アンドレは、アメリカの画家フランク・ステラの影響を受け、独自のスタイルを確立しました。すなわち、素材そのものへの愛着、厳格な制作姿勢、象徴性の拒絶です。アンドレは早い時期から、彫刻に根源的な変化をもたらす試みに挑戦しました。それは、床や地面との関係の重視、ダイレクト・カービングの手法です。素材は彫刻を施すよりも未加工の状態のほうが興味深いとの信念を抱くようになると、ついには素材に手を加えることを全面的に放棄し、煉瓦や丸太や規格品である合成コンクリートブロック、金属板などをそのまま使うことを選択するにいたります。彼の創作の原理原則は、形状、構造、場所の等価性です。アンドレ本人によると、彼の作品は周辺の環境と切り離せぬ関係を結んでいて、作品自体に固有の意味があるわけではなく、作者が手を加えた痕跡は残っていません。
彼の最も有名な作品の1つは、地面に薄い金属板を置いたものであり、人々に上を歩いてもらうことで芸術作品の神聖視を打破することを意図しています。あらゆる物体と同じく、芸術作品も摩耗することがあり得る、摩耗すべきだ、との主張が込められています。今回展示される《Draco》(1979-2008年) は、ウェスタンレッドシダー(ベイスギ) の材木を組み立てた作品であり、展示室の中央に設置されることで来場者の動きを妨げ、展示空間の構造を強調します。

この2人のアーティストを並べて紹介することで、一見したところ背反する2つの芸術潮流──激烈な色使いによる自由な表現と、あるがままの素材で見せる幾何学的厳密さの奥深さが照らし出されます。2人の共通点は根本に迫るアプローチであり、これが作品の周囲に、そして作品と空間との間に緊張を生み出しています。

2021年5月1日(土) ──新たにコレクションに加わったジョアン・ミッチェルの2点の作品、《Minnesota》(1980年)と《South》(1989年)が展覧会にさらなる彩りをもたらします。

エスパス ルイ・ヴィトン大阪にて初展示となる、2点の1980年代制作の風景画は、ミッチェルの晩年に描かれました。両作品の炸裂する色彩が、最終的には洗練されたアンサンブルを織りなし、ミッチェルの作品の成熟度を物語っています。


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