会社員の独身の子どもが亡くなった、年金暮らしの両親は遺族厚生年金を受け取ることができる?
ファイナンシャルフィールド / 2021年3月16日 22時40分
平均寿命を考えると、子どもよりも親が先に亡くなるパターンが多いと思いますが、子どもが先に亡くなるケースもあります。会社員の子ども(独身)が先に亡くなった場合、年金暮らしの両親は遺族厚生年金を受け取ることができるか、お話しします。
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遺族年金には、自営業者など国民年金に加入中の人などに生計を維持されていた遺族が受け取ることができる遺族基礎年金と、会社員・公務員など厚生年金に加入中または被保険者だった人に生計を維持されていた遺族が受け取ることができる、遺族厚生年金の2種類があります。
なお、子のある配偶者、子は、遺族厚生年金に加え遺族基礎年金も併せて受けられます。このうち遺族厚生年金は高齢期の配偶者や父母などが受け取れる場合も多く、老後の生活を支える収入源のひとつとして大切です。
■遺族厚生年金の対象者について
遺族厚生年金は、被保険者等が死亡当時、生計維持関係にあった「配偶者」「子」「父母」「祖父母」「孫」がその対象となっています。「兄弟姉妹」は含まれません。遺族基礎年金と異なり、子のいない妻・夫も受け取ることができます。
これらの遺族には、以下のように遺族厚生年金をもらう優先順位があり、その最先順位者しか遺族厚生年金をもらうことができません。つまり、上位者が受給すると、次順位以下は失権します。
1.配偶者(妻・夫)または子
2.父母
3.孫
4.祖父母
夫、父母、祖父母は、死亡当時55歳以上(受給開始は60歳から)という条件があります。ただし、夫は遺族基礎年金受給中に限り、60歳より前でも受給できます。
また、子・孫は18歳到達年度の年度末を経過していない者、または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者で、かつ婚姻していない場合に限ります。
■生計維持されているとは?
遺族厚生年金の受給可能な遺族であっても、死亡当時、生計維持されていなければ遺族厚生年金を受け取ることができません。生計を維持されているとは、原則次の要件を満たす場合をいいます。
1.同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます)。
2.対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5000円未満であること。
■遺族厚生年金の額について
例えば、会社員の夫が死亡した場合、妻が受給できる遺族厚生年金の額は、夫の報酬比例部分(老齢厚生年金)の4分の3になります。妻が65歳前は「中高齢寡婦加算」が年額約59万円、40歳から65歳まで付きます。
65歳以降は妻自身が老齢基礎年金を受け取れるようになるので、「中高齢寡婦加算」はなくなります。そのかわり、昭和31年4月1日以前生まれの妻には「経過的寡婦加算」が付きます。
65歳以降、遺族厚生年金と妻自身の老齢厚生年金を受けられる場合、妻の老齢厚生年金が優先され、夫の遺族厚生年金と妻の老齢厚生年金の差額が遺族厚生年金となります。なお、子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となります。
会社員の子どもが先に亡くなった場合
会社員の子ども(独身)が亡くなったケースで、両親とも65歳以上で年金を受給していて、父親は老齢厚生年金と老齢基礎年金、母親は老齢基礎年金のみ受給しているケースを考えます。生計維持関係は満たしているものとします。
第1順位の妻・子がいないので、次順位の父母が遺族厚生年金を受け取ることができます。仮に遺族厚生年金の受給額が60万円とすると、この額の半分(30万円)が父母それぞれの受給額です。
ただし、父親が老齢厚生年金と遺族厚生年金を受けられる場合、老齢厚生年金が優先されますので、老齢厚生年金の受給額が遺族厚生年金より多ければ、遺族厚生年金は受給できません。
母親は老齢基礎年金だけですので、分割された遺族厚生年金30万円を受給できます。もし、父親が母親より先に亡くなった場合、父親の遺族厚生年金の分が母親に加算され、母親の遺族厚生年金は60万円となります。
まとめ
会社員の子ども(独身)が先に亡くなった場合、受給要件を満たせば、両親は遺族厚生年金を受給できます。年金事務所で教えてくれますので、年金相談を活用しましょう。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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