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相続させたくない場合は「相続廃除」ができるってホント?

ファイナンシャルフィールド / 2021年9月30日 14時0分

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自分の死後に子や配偶者、親兄弟などが財産を相続するのは当然の権利だとわかっていても、心情的に相続をさせたくない相手がいるケースは珍しくないでしょう。このようなときに活用できる制度のひとつが「相続廃除」です。   ここでは、相続廃除の概要や適用条件、手続き方法に加えて、制度を利用する際の注意点をまとめました。相続廃除について詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。

相続廃除とは?

相続廃除とは、裁判所による審判で認められた場合に、遺留分をもつ特定の相続人を相続から除外できる制度です。相続廃除が認められる事由や手続き方法については、民法第八百九十二条、第八百九十三条に規定されています。
 
相続廃除された相続人は、法定相続分だけでなく遺留分の相続権も失います。また、相続廃除の事実は当該相続人の戸籍に記載されることも覚えておきましょう。
 
なお、相続廃除は被相続人による裁判所への取り消しの請求または遺言によって取り消しが可能です。
 

相続廃除が認められるのはどんなとき?

相続廃除は相続人の権利を奪う制度です。そのため、「同居を断られた」「家業を継ぐ気がない」など単に被相続人の意向に沿わないからという理由では認められません。相続廃除が認められるのは、次の事由がある場合に限定されています。
 

●当該相続人による被相続人への虐待:一方的な暴力・精神的な耐えにくい苦痛を与える行為・経済的虐待・介護放棄など
 
●当該相続人による被相続人への重大な侮辱:悪口・秘密の暴露など名誉や自尊心を傷つける行為
 
●当該相続人のその他著しい非行:犯罪、著しい浪費など

 

相続廃除の手続き方法

相続廃除の手続きには、次の2つの方法があります。
 

●被相続人が家庭裁判所に申し立てる(生前廃除)
●遺言で廃除の意思表示をし、被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に申し立てる(遺言廃除)

 
相続廃除の申し立ては、被相続人の住所地の家庭裁判所に対して行います。家庭裁判所の審判によって廃除が認められたのち、10日以内に審判の申立人が「推定相続人廃除届」「家庭裁判所の審判書謄本および確定証明書」を受理されれば、手続き完了です。
 

相続廃除の注意点

相続廃除を検討する際には、次のような点に留意する必要があります。
 

●遺留分のない相続人はそもそも相続廃除できない
●廃除した相続人の相続分は子に代襲相続される
●申し立てても相続廃除が認められないことがある

 
これらを考慮しても申し立てる利点があるかどうか、よく考えてから手続きすることが大切です。以下でそれぞれ説明します。
 

遺留分のない相続人は廃除できない

相続廃除の対象となるのは、遺留分を有する相続人(相続人の中で兄弟姉妹以外)のみです。遺留分のない兄弟姉妹などを相続から除外したい場合は、その旨を記載した遺言書を作成すれば、相続分を継承せずにすみます。
 

廃除した相続人の相続分は代襲相続される

相続廃除によって被相続人の子が相続から除外された場合、代襲相続(※)によって、相続権が子の子(被相続人の孫)に移ります。
※被相続人の子が相続権を失った際に、その子の子に相続権が引き継がれる制度。
 
そのため、子を相続廃除しても財産が孫にわたることになり、子と孫の関係性によっては実質的な効果がない場合があります。
 

申し立てても認められないことがある

相続廃除を申し立てるか否かは、被相続人が指定できます。しかし、相続廃除が妥当かどうかの最終判断を下すのは、家庭裁判所です。家庭裁判所の判断は客観的かつ慎重で、全ての申し立てが認められるわけではありません。
 
相続廃除を申し立てる際は録音や医師の診断書、虐待などの詳細な記録を用意し、当該相続人の行為を正確かつ客観的に伝えることが大切です。
 

相続廃除の制度を適切に活用しましょう

相続廃除は適用範囲が遺留分を有する相続人に限定されることに加え、特定の事由がなければ認められません。代襲相続など注意が必要な点もさまざまあります。さらに、裁判所を介しなければならないなど、手続きも決して手軽なものとはいえないでしょう。
 
相続廃除を利用して望む結果を得るためには、制度の要点を理解して適切に活用することが大切です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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