会社員「企業型DC + つみたてNISA」のメリットを検証してみました!
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月26日 14時10分
安定的な資産形成のために、「長期・分散・積立」と投資信託を利用した制度があります。運用益非課税の確定拠出年金とつみたてNISAです。 企業のなかには、自社社員に向けて企業型DC(企業型確定拠出年金)を用意しているところもあります。会社負担で、従業員の老後資金を形成できる制度です。 企業型DCに加入している会社員が、会社掛金の余裕枠で自ら拠出する方法に、マッチング拠出、iDeCoの併用があります。個人負担の掛け金は、掛金全額所得控除です。 ところで、同じように投資信託を利用して、運用益非課税で積み立てる方法に、つみたてNISAがあります。企業型DCに加入している会社員がつみたてNISAを始める場合、どのようなメリットがあるのでしょうか? まず、制度からみていきましょう。
企業型確定拠出年金
そもそも、確定拠出年金はどのような制度でしょうか。確定拠出年金には、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。老後資金専用口座のため、60歳まで(企業型DCの場合規約で定めた期間まで)引き出すことができません。
企業型DCは、事業主が掛け金を拠出し、口座の開設や管理手数料も会社が負担します。給与とは別に拠出される事業主掛金には課税されませんし、社会保険料もかかりません。
受け取るとき、退職一時金として受け取る場合は退職所得控除が、年金として受け取る場合は公的年金控除が使えます。転職する場合、転職前の会社の制度に留まることはできないので、移換する必要があります。
転職先が企業型DCを導入していれば転職先へ、ない場合はiDeCo口座へ。移換の際、運用商品をいったん売却し、現金化してから移さなければなりません。
企業型DCとの併用に制約を受けるiDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、加入者自身が掛け金を拠出し、口座の開設・管理も自分が負担します。掛け金は全額所得控除ができます。受け取るときは課税対象となりますが、退職所得控除または公的年金控除が使えます。
転職しても、iDeCo口座はそのまま続けられます。しかし、現在の法律では、企業型DCを導入している企業に転職するときは、
(1) 転職先の企業型DCに資産を移換する
(2) 企業の規約にiDeCo併用の定めがあれば、そのまま運用を続ける
(3) iDeCo併用の定めがなくても、運用指図者(掛け金を出さない)として運用を続ける
ということが考えられます。ただし、マッチング拠出を導入している場合は、iDeCo加入はできません。令和4年10月からは、企業の規約にiDeCo併用の定めがなくても、iDeCoと企業型DCの掛け金の合計が5万5000円(iDeCoは月額2万円が上限)までで併用ができるようになります。
また、マッチング拠出を導入している企業の場合は、マッチング拠出かiDeCo併用かを選ぶことができます。移換する場合は、運用商品をいったん売却し現金化しなければなりませんが、併用や運用指図者となる場合は、現金化することなく運用を続けることができます。
いつでも必要なときに課税されず現金化できる「つみたてNISA」
ところで、運用益が非課税の制度に、iDeCo同様、毎月投資信託を積み上げていくものがあります。つみたてNISAです。「非課税枠が年間40万円、非課税運用期間が最長20年」で運用ができます。
企業型DCやiDeCoの確定拠出年金は、その名のとおり老後のための資産形成の制度です。60歳以降でないと引き出せないという縛りがありますが、実際に受け取るまでは課税されず、自分で掛けた分は全額所得控除されます。
対して、つみたてNISAは、「自分のお金を運用益非課税で運用する」だけですから、掛金全額所得控除はありませんが、自分が必要なときに売却し使うことができます。
iDeCoや企業型DCを受け取るときは、一時金で受け取れば退職租特控除、年金で受け取れば公的年金控除を使えますが、受け取る時点で収入とされて、控除からはみ出した部分は課税の対象です。
しかし、つみたてNISAは「自分のお金を運用益非課税で運用する」だけですから、解約時に課税されません。つみたてNISAは、利用する証券会社の最低金額から始められます。
同じ年に「NISA」か「つみたてNISA」か、どちらか一方しかできないという制約がありますが、企業型DCをやっていようがiDeCoをやっていようが、つみたてNISAは好きなように始められます。
どのくらいの金額をつみたてNISAで運用するかは、家計との相談です。必要な金額が確定しているものは元本確保で保有しましょう。そして、生活防衛資金をしっかりと作ってから「余裕資金で」始めましょう。
出典
金融庁 つみたてNISAの概要
厚生労働省 2020年の制度改正
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者
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