年金の「繰下げ受給」は夫婦の「ズレ」で賢くもらえる!? コツと注意点
ファイナンシャルフィールド / 2023年7月6日 4時30分
将来、自分はいくら年金を受け取れるのかについて、心配する人は少なくないでしょう。 株式会社Q.E.D.パートナーズが運営するチャットガイドの調査によると、将来の年金に対して「とても不安(51.5%)」「不安(42.0%)」と、約93%の人が、老後のお金への不安を抱えていることが分かります。 そこで今回は、年金の「繰下げ受給」について解説します。さらに「繰下げ受給」を利用する際の注意点や、お得に年金を受け取るコツもまとめました。 正しい知識を持たずに利用すると、得をするどころか、損をしてしまうことも。これを機に、自分の将来の年金について考えてみましょう。
年金の「繰下げ受給」とは?
年金の「繰下げ受給」とは、老齢基礎年金・老齢厚生年金を、65歳で受け取らずに、66~75歳の間に繰り下げて受け取ることです。
繰り下げた期間に応じて、年金が増額され、その増額率のまま、年金を受け取れます。老齢基礎年金と老齢厚生年金の、どちらか一方のみを繰り下げることも可能です。
受給期間を繰り下げた場合の増額率は、1ヶ月ごとに0.7%ずつ増加します。例えば70歳0ヶ月まで、年金受け取り期間を繰り下げた場合は、42.0%の増額率となります。
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、人によって受給額が異なるため、金額が大きいほうを繰り下げることで、より多くの額の年金がもらえるでしょう。
「繰下げ受給」する際の注意点とコツ
年金を「繰下げ受給」することで、受給額が増えて、一見お得に感じますが、使い方次第では、損をしてしまうおそれがあります。
そこで本章では、年金を「繰下げ受給」する際の注意点と、損をしないコツをご紹介します。
年金のトータル受給額が少なくなる可能性がある
年金の「繰下げ受給」は、受給のタイミングを遅くする制度であり、その間の年金は、当然もらえません。そのため、万が一、早くに亡くなってしまった場合は、その分を損してしまうことに。
厚生労働省が発表した令和3年の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳です。女性のほうが、平均寿命が長い傾向にあるため、夫婦で「繰下げ受給」を検討している場合は、長寿の可能性が高い妻を、申請対象とするとよいかもしれません。
繰り下げ期間中は「加給年金」が受け取れない
「加給年金」とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳になった時点で、生計を維持する65歳未満の配偶者や18歳未満(到達年度の末日まで)の子どもがいる場合に、支給される年金です。
加給年金は、老齢厚生年金とセットになっているため、老齢厚生年金を繰り下げすると、その期間は受け取れなくなります。
もし、年下の配偶者がいるようであれば、老齢厚生年金は、そのまま65歳から受け取り、老齢基礎年金のみを繰り下げるとよいでしょう。
年金受給額が上がると税金や保険料も増加する
年金の受給額が増えることで、所得税などの税金や保険料が上がります。そのため「繰下げ受給」を利用して、受給額が上がることで、負担が増えてしまう人もいるでしょう。
まずは、自分がいくら年金を受け取れるのかを把握してから「繰下げ受給」を利用するかを検討すると、安心です。
「繰下げ受給」を利用することで得する人とは?
年金の「繰下げ受給」は、受け取る人によって、損得が分かれます。
「繰下げ受給」で得をする人は、以下にあてはまる場合です。
●65歳を過ぎても働く予定の人
●年金受給額が少ない人
繰り下げ期間中は、年金による収入はないため、その間、生活するための資金が必要です。65歳以降も働く予定がある人や、十分な貯金があるならば、「繰下げ受給」を利用して、年金の受給率を上げてから受け取ると、お得です。
また、もともとの年金受給額が少ない人であれば「繰下げ受給」で増額しても、非課税の範囲で収まることも考えられます。そうすると、税金や保険料の負担が少なくて済むでしょう。
自分の状況に合わせてうまく「繰下げ受給」を利用しよう
年金の「繰下げ受給」は、受け取る人によっては、あまり得ではないケースも考えられます。そのため、まずは、自分がどれほどの年金を受け取れるのかを、事前に把握することが大切です。
そして、家族の年齢に合わせて、うまく「繰下げ受給」制度を活用することで、損することなく、年金を受け取れるでしょう。
出典
株式会社Q.E.D.パートナーズ チャットガイド 「将来の年金が不安だ=93%も!老後は年金だけじゃ生活できない98%の意見【20代〜50代200人調査】」
日本年金機構「年金の繰下げ受給」
厚生労働省 令和3年簡易生命表の概況 結果の概要 「1 主な年齢の平均余命」
日本年金機構「加給年金額と振替加算」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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