「代襲相続」と「再代襲」のルール!相続前に本来の相続人が亡くなっていたら、その子どもが相続人に?
ファイナンシャルフィールド / 2018年9月12日 9時0分
相続の開始時、本来なら相続人が3人いるところ、そのうちの1人がすでに亡くなってしまっていたらどうなるかを、考えたことはありますか?この場合、相続財産は存命中の2人で半分に分けることとなるのでしょうか?少し考えてみましょう。
親の代わりに子! それが代襲相続!
まず、相続人というのは、被相続人(亡くなった方)の財産を「承継することができる人」のことです。冒頭に記したように、相続人となるはずだった人が3人(AさんとBさんとCさん)いたと仮定します。
しかし、相続の開始よりも前にAさんが亡くなってしまいました。Aさんは結婚しており、子どももいます。その場合、遺産をBさんとCさんの2人だけで相続するとなったらどうでしょうか。
Aさんは、たまたま先に亡くなってしまったために、遺産を受け取れず、残ったBさんとCさんだけで山分けというのは少し不公平に感じてしまいませんか?
もし、Aさんの家族が被相続人(亡くなった方)から生活を支援してもらっていたとしたら、Aさんの家族の生活はどうなってしまうのか、という心配もあります。
そこで、民法では次のようなルールを定めています。
「被相続人の子に、相続の開始前に次のようなことがあった場合、その者の子がこれを代襲して相続人となる」(民法887条2項)
① 相続の開始前に亡くなったとき
② 相続人としての資格を失ったり、被相続人の意向によって廃除(相続人の地位から除外)されたとき
つまり、今回の例でいえば、遺産はBさんとCさんだけで分けるのではなく、Aさんの子ども、Bさん、Cさんの3人で相続することになるのです。これを「代襲相続」といいます。
このとき、Aさんに子どもが3人いれば、BさんCさんにAさんの子ども3人を加えた計5人で遺産を分けることとなります。とはいえ、遺産が5分割されるわけではありません。
Aさんの子どもたちはあくまでAさんに代わってして相続しているにすぎないため、Aさんの子ども3人は、本来ならAさんが相続したであろう部分の範囲内において子どもたち3人で分け合うことになります。
つまり、BさんCさんの相続分が減ってしまうようなことはありません。
代襲者も亡くなっていたらどうするの? そんなときは再代襲!
ここで、ひとつの疑問が生まれます。
相続の発生時、Aさんだけでなく、その「代襲者である子どもたち」もすでに亡くなっていたらどうなるでしょうか。その場合、次の規定にしたがい、亡くなった「代襲者の子ども」のさらに「子ども」が代襲して相続人となるのです。
「代襲者がすでに亡くなっていたり相続人としての資格を失っていた、あるいは相続人として廃除されていたら、その者の子が代襲して相続する」(民法887条3項)
このように、代襲者をさらに代襲する仕組みを「再代襲」と呼びます。
ただし、次のような決まりがあります。「被相続人の兄弟姉妹が本来の相続人となる場合は代襲相続までとなり、再代襲の規定は適用されない」(民法889条2項)
たとえば、相続人が全員、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹である場合、相続人の1人が死亡していれば、その子ども(被相続人の甥や姪)が代襲して相続人となります。
しかし、甥や姪も死亡していた場合、甥や姪の子どもには再代襲の規定は適用されないため、姪や甥の子どもが相続人にはなれないということになります。
代襲相続、再代襲について理解しておきましょう
本来、相続人となるはずの人が相続の開始前に亡くなっていた場合、その子どもや孫が代襲、あるいは再代襲して相続人となることができます。
ただし、本来相続人となるはずだった人が被相続人の兄弟姉妹である場合、再代襲は認められないことに注意してください。実際に相続が発生する場面では、だれに、どのように遺産を分けるか、複雑になることが予想されます。
不安なことや、気になることがあれば、専門家へ相談することも考えた方がいいかもしれません。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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