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医療費の負担を軽減できる? 「高額療養費制度」ってどんな制度?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月10日 5時20分

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年齢を重ねるごとに、医療費の支出が増加してくることが一般的です。入院や手術など一時的に増加するケースや、複数回の通院により増加するケースなど、人それぞれで状況はさまざまでしょう。そのようなときに、自己負担限度額を超えて支出された医療費を払い戻してくれる制度が「高額療養費制度」です。   この記事では、高額療養費制度を適用する上でのルールや、世帯合算、多数回該当の適用例などについて確認してみたいと思います。

自己負担額の合算ルール

高額療養費の計算の基礎となる「医療費の合算ルール」は、医療費をひと月ごとに以下の4つの基準に沿って分類し、それぞれの金額を集計して、それを合算して算出するというものです。

(1)受診者ごと
(2)医療機関ごと

ただし、院外処方せんの薬剤費は、処方せんを発行した医療機関の分と合算することができます。
(3)医科、歯科ごと
レセプト(医療機関から医療保険に提出する診療報酬の請求書)ごとに集計するため、同じ医療機関でも医科と歯科の医療費は別になります。
(4)入院、外来ごと
同じ医療機関で同じ診療科でも、入院と外来は別に集計します。

つまり、高額療養費の自己負担額の計算は、医療費の領収書を医療機関ごとに分類し、さらに医科・歯科ごとに、入院・外来ごとに集計し、合算して計算します。ただし(2)~(4)については、おのおののひと月ごとの自己負担額が2万1000円以上(70歳未満の場合)の場合にのみ、合算することができます。
 

自己負担限度額とは

自己負担限度額とは、年齢や所得に応じて定められている、患者ごとに支払う医療費のひと月ごとの上限額のことです。この記事では、「国民健康保険に加入しており、70歳未満で、自己負担額が3割負担」である方の事例について、見てみたいと思います。
 
【70歳未満の方の、ひと月の自己負担限度額】
 

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 から筆者作成
 
※旧ただし書き所得とは、前年の収入から必要経費、給与所得控除、公的年金等控除および住民税の基礎控除等を差し引いた額のことです。
 
受診者によってひと月ごとに合算された自己負担額と、上記の所得ごとに定められた自己負担限度額を比較して、超過額が後日支払われることになります。
 

世帯合算とは

受診者1人の自己負担では自己負担限度額を超えない場合でも、同じ世帯で同じ公的医療保険に加入している方の分を、1ヶ月単位で合算することができます。これを「世帯合算」といいます。
 
世帯合算では、例えば、会社員とその家族が同じ健康保険に加入していれば、合算することができます。ただし、健康保険の被保険者と同居する後期高齢者医療制度の被保険者は、それぞれ別の公的医療保険であるため、合算することができません。また、合算されるのは2万1000円以上の自己負担のみとなります。
 

多数回該当とは

直近12ヶ月間で既に3回以上高額療養費が支給されている(限度額を超えている)場合は、4回目以降は「多数回該当」として自己負担限度額がさらに低くなります。多数回該当の場合の自己負担額は、上記の表の最右列の金額となります。
 

どのぐらいで支払われるの?

高額療養費を申請した場合、受診した月から少なくとも3ヶ月程度かかるとされています。申請を受け付けた各医療保険では、レセプトに基づく審査が必要となります。レセプトの確定までは一定の時間を要するため、支払いまでに多少の時間が必要となります。
 
また、高額療養費の支給を受ける権利の消滅時効は、診療を受けた月の翌月の初日から2年となっています。
 

まとめ

複数の医療機関等に受診している場合や、1人では限度額を超えないものの家族の分を世帯合算することで限度額を超える場合などには、申請により高額療養費の支払いを受けることができる可能性があります。
 
また、図表に記載されているとおり、年収によって異なりますが、目安として適用区分「ウ」の方は、おおむね8万円を超える程度の医療費をひと月に負担したときに、高額療養費制度を利用できる可能性があることを覚えておきましょう。
 

出典

厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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