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税制改正が行われたようですが、子育て世帯に関係のある制度はどのように変わったのですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月20日 2時30分

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令和5年12月14日に公表された「令和6年度税制改正大綱」の中から、皆さまに関係がありそうな改正点のポイントを解説します。

所得税および個人住民税の定額減税

大企業では賃金上昇が実現していますが、中小企業では賃金上昇が大企業に比べ遅くなり、物価高に追いついていない状況です。これら国民の負担を緩和し、物価上昇を十分に超える持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税・個人住民税の定額減税が、1年間行われます。
 
減税額は、本人分だけでなく、配偶者を含めた扶養親族についても同額の控除を受けることができます。所得税は、1人につき3万円、住民税は1人につき1万円です。なお、所得制限があり、令和6年分の所得税・住民税に係る合計所得金額が1805万円以下(給与収入2000万円以下)の人に限られます。
 
住民税所得割が課されない世帯等については、すでに支給済みの分と合わせて1世帯あたり、10万円の給付が受けられます。世帯内に扶養されている18歳未満の子がいる場合は1人当たり5万円が加算されます。
 
定額減税のしかたは、給与所得者の場合、令和6年6月1日以降に支払う給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除し、年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき精算します。一方、住民税は令和6年6月には徴収せず、定額減税後の税額を令和6年7月分から令和7年5月分の11ヶ月で徴収します。
 

子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充

子育て世帯および若者夫婦世帯の住宅ローンの借入限度額について、子育て支援の観点から上乗せが行われます。具体的には、令和6年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合、新築等の認定住宅は500万円、ZEH水準省エネ住宅や省エネ基準適合住宅は1000万円、上乗せされます。
 
つまり、借入限度額は、新築等の認定住宅は5000万円、ZEH水準省エネ住宅は4500万円、省エネ基準適合住宅は4000万円に拡充されます。
 
対象者は、(1)年齢40歳未満であって配偶者を有する人、(2)年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する人、(3)年齢19歳未満の扶養親族を有する人のいずれかの人です。
 
子育て世帯は住宅取得において駅近等の利便性がより重視されることを踏まえて、合計所得金1000万円以下の人に限り新築住宅の床面積要件が40平方メートル(現行50平方メートル)に緩和されます。ただし、中古物件取得者の場合は、住宅ローン控除の借入限度額の拡充はありません。
 

子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充

子育て世代の居住環境の改善の観点から、子育て世帯等(「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」)が一定の子育て対応改修工事をして、令和6年4月1日~12月31日まで居住の用に供した場合には、標準的な工事費用相当額(限度額250万円)の10%等を所得税から控除できます。
 
なお、合計所得が2000万円以下という所得制限があります。
 
子育て対応改修工事の具体例は、(1)住宅内における子どもの事故を防止するための工事、(2)対面式キッチンへの交換工事、(3)開口部の防犯性を高める工事、(4)収納設備を増設する工事、(5)開口部・界壁・床の防音性を高める工事、(6)間取り変更工事(一定のものに限る)です。
 
ただし、その工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、当該補助金等の額を控除した後の金額)が 50 万円を超えること等一定の要件を満たすものをいいます。
 
なお、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の適用期限は2年間(令和6年~令和7年)延長されます。
 

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置とは、父母や祖父母など直系尊属から、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる特例です。
 
贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅の場合には1000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの住宅取得等資金の贈与が非課税となります。
 
床面積要件は50平方メートル以上ですが、合計所得金額が1000万円以下の受贈者に限り、40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅についても適用されます。その他、省エネ等住宅の省エネ基準も見直しされました。
 
住宅取得環境が悪化する中、住宅取得に係る負担の軽減および良質な住宅の普及を促進する観点から、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等が令和8年12月31日まで3年間延長されます。
 

扶養控除およびひとり親控除の見直し

児童手当の改正(所得制限の撤廃・支給期間18歳まで延長)に伴い、扶養控除額が縮小されることになりました。16歳から18歳の扶養親族の扶養控除額が、所得税では38万円から25万円へ、住民税では33万円から12万円に縮小される予定です。
 
ひとり親控除について、とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点から、対象となるひとり親の所得要件について、現行の合計所得金額500万円以下を1000万円以下に引き上げる予定です。
 
また、ひとり親の子育てにかかる負担の状況を踏まえ、ひとり親控除の所得税の控除額については、現行の35万円を38万円に引き上げ、個人住民税の控除額については、現行の30万円を33万円に引き上げる予定です。
 
扶養控除およびひとり親控除の見直しについて、所得税は令和8年(2026年分)から、住民税は令和9年(2027年分)からの適用が検討されています。
 

生命保険料控除の拡充

生命保険の遺族保障は、遺族の生活費や子どもの教育費用への備えとして重要です。また、人生100年時代を迎え、老後生活に向け、資産形成や医療、介護などへの備えも重要性を増しています。
 
死亡保険・介護医療保険・個人年金保険が持つ私的保障の役割はますます大きなものとなっています。生命保険の重要性が高まっていることから、子育て支援策の一環として、23歳未満の扶養親族を有する場合には、一般の生命保険料控除の限度額が4万円から6万円へ増額される予定です。
 
なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の合計適用限度額は現行と同じ12万円(所得税)のままです。また、一時払生命保険については、控除の適用対象から除外されます。
 
適用時期について「扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、令和7年度税制改正において検討され結論が得られる予定です。以上、ご自身に関係のある制度については、詳細をしっかりチェックしましょう。
 

出典

財務省 令和6年度税制改正の大綱(目次)
財務省 令和6年度税制改正(国税)等について
自民党 令和6年度税制改正大綱
国土交通省 住宅ローン減税の制度内容が変更されます! ~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~
金融庁 令和6年度税制改正大綱における金融庁関係の主要項目について
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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