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資産運用にも「終活」は必要! “わかりやすく”、“分けやすく”が原則

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月24日 2時20分

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自分がかなりの高齢になると、相続のことを考え、所有している金融資産などをどうするかを、真剣に考えるようになります。   相続人が配偶者と子どもが何人いるか、家族同士の仲はよいか、などの事情により、考え方は変わってきます。いずれにせよ、これまで自分で運用してきた金融資産などを、どう引き継いでもらうかを決めていくことが大切です。

持っている金融機関の口座を集約

多くの方は、銀行など金融機関に複数の預金口座を持ち、複数の証券会社とも口座を開き取引をなさっているか思います。もし自分が亡くなった後で、多数の預金口座や証券取引口座が残ると、遺族はその確認作業だけでも多く労力を取られます。場合によっては、見つけられない口座が出てくるかもしれません。
 
そのため、自分が持っている預金口座、証券取引口座を整理することが大切です。これまで転居などが多かった方は、それぞれの場所で近くの金融機関に預金口座をつくり、そのまま転居後も使っており、金融機関の預金口座が5件以上ある方もいると思います。
 
預金残高もかなりあるかもしれません。証券取引口座も、いくつかの証券会社から声をかけられ口座を開いた方、さらにネット証券の口座を持っている方もいると思います。
 
またクレジットカードも、複数枚持っている方も多いはずです。このように増えてしまった取引口座を、できるだけ集約する作業が必要です。預金口座も証券口座も、それぞれ2件程度にすることをお勧めします。クレジットカードも利用頻度の少ないものから解約をします。
 
集約した具体的な取引口座名を、相続人に伝えておけば、混乱なく相続ができます。取引している口座をできる限り整理することで、相続人同士でどのように分けるのかも決めやすくなります。
 

手間のかかる相続にしない努力

とくに金融資産がどうなっているか分かりにくい、といった相続人の悩みを減らす工夫も大切です。そのための具体例として、複数の金融機関にある口座数を減らすだけでなく、定期性預金は極力解約し、普通預金の形に変更することです。定期預金を普通預金に移し、取引先も減らすことで、相続も楽になります。    
 
定期性預金は確かに安全ですが、金利も普通預金とあまり変わらない上に、実際に相続手続きとなると、口座名義人の戸籍謄本を集める必要があり、非常に解約手続きに苦労します。
 
さらに本人が生存中でも、病気などで出向けない場合にも、解約手続きにかなり手間がかかります。本人が元気なうちに普通預金に変更しておけば、家族がキャッシュカードを管理し暗証番号を知っていれば、代理で預金を引き出すことができます。
 
証券口座もわかりやすく整理します。これまでは、相続のことを考え株式などを現金化する傾向も見られました。しかし最近の株式相場の動向に関心をもち、高齢者が株式を現金化せずに保有し、投資活動を続けているケースもあるでしょう。
 
証券口座で問題となるのが、ネット専用証券の口座の扱いです。店舗があり担当者がいる証券会社の場合、取引自体はネットでも、取引内容が郵送されてくるケースもあり、相続人が実態を確認できます。口座の存在が分からなくても証券会社に連絡し調べてもらえます。
 
しかしネット証券では、最初の取引時の契約書が見つからなければ口座番号もわかりません。取引がネットで完結するため、どの会社と取引していたのかを、相続人で把握できないことが起こります。少なくとも相続人に対し、ネット取引している会社名と口座番号などを知らせておけば、相続財産から漏れる事態は避けることができます。
 

現預金は相続税の節税には向かない

相続財産がどのくらいあるかで、相続税を納付するかが決まります。相続人の人数により相続税額も変わってきますが、相続税の基礎控除額を超えた相続財産を保有し、納付の必要がある方は、いくつか節税対策が求められます。
 
実際の相続財産のうち、現金、預貯金、株式、投資信託などの保有比率が高い場合は、やや不利になります。確かに相続人が多いときは分配しやすい利点もありますが、実際の保有額のほぼ100%が相続税の課税対象になります。
 
手持ちの現金と預金は、相続発生の時点の金額がすべて課税対象です。上場株式については、死亡時の終値などいくつかの指標の最低値で評価され、現金に比べると若干有利な基準になります。しかし、株式や投資信託を含め、相続面では現預金とあまり変わりません。
 
現金や預金に比べて、相続税の評価額が低くなる代表例が、建物や土地などの不動産です。とくに賃貸住宅に住むなど不動産所有額が少ない方は、要検討です。
 
不動産は現預金に比べ、簡単に売買できないなど流動性に欠けているため、相続税の評価額は、土地で時価の80%、建物で60%程度に抑えられています。そのため現預金や有価証券などと同額の資産価値であっても、相続の際の評価額は下がり相続税額が安くなります。
 
そのため現預金の保有額が多い方は、その一部を土地やマンションの購入に充て、相続税自体を低く抑えることも検討材料です。ただし、購入にあたっては、将来の売却がしやすい物件を選ぶ必要があります。
 
相続人が住みたい気持ちにならない遠隔地の不動産は、安いからといって手を出すことは避けるべきです。また相続人の数が多い、相続に関してトラブルが起こる可能性がある、といった場合も、不動産は分割しにくいので、要検討になるかもしれません。
 
相続に際して、検討に値するのが生命保険の活用です。例えば現預金の一部を「一時払い終身保険」に変更するのは有効な対処法です。相続人の中でも、子どもを受取人としておくと、配偶者に比べ非課税額が少ないため、相続税の節税効果が大きくなります。  
 
相続時の生命保険の非課税額は、500万円×法定相続人数、です。例えば2000万円の死亡保険に加入し、法定相続人が3人の場合、「500万円×3人=1500万円」が非課税となり、その分が相続税の対象から控除されます。
 
以上のことに留意し、終活・資産整理を行いましょう。
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
 
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

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