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老齢年金の繰下げ受給の注意点―会社員と公務員両方勤めていた場合―

ファイナンシャルフィールド / 2019年5月22日 23時15分

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65歳からの老齢年金について、繰下げ受給をしようと考えている人もいるでしょう。   会社員として勤務していた期間だけでなく、他に公務員として勤務していた期間もある人は、会社員期間だけの人と異なる注意点もあるため、より慎重に考える必要があります。  

老齢年金の繰下げ受給制度

会社員だった人は、65歳になると国民年金制度から老齢基礎年金を、厚生年金保険制度から老齢厚生年金を受給することができ、2階建ての老齢年金を受給できるようになります。この本来65歳から受給できる年金について、65歳から受け取らず、受給の開始を遅くする代わりに年金を増額させることができるという繰下げ受給制度があります。
 
1か月繰り下げるごとに、0.7%増額させることができます(1941年4月2日以降生まれの人の場合)。繰下げは66歳0か月(12月×0.7%=8.4%増額)から1か月単位で可能で、最大70歳(60月×0.7%=42%増額)まで可能となっています。
 
老齢基礎年金と老齢厚生年金のうち片方だけ繰下げ受給することも、それぞれ異なる時期に繰下げ受給を開始することも可能です(【図表1】)。
 

 

公務員・私学教職員も厚生年金に加入

繰下げ受給ができる老齢基礎年金と老齢厚生年金のうち、老齢厚生年金は会社員としての加入期間によって計算された年金だけではありません。
 
2015年10月の被用者年金一元化により、会社員だけでなく、国家公務員・地方公務員・私立学校教職員の人(いわゆる共済制度の対象者)も厚生年金に加入することになっています。
 
会社員は第1号厚生年金被保険者、国家公務員は第2号厚生年金被保険者、地方公務員は第3号厚生年金被保険者、私立学校教職員は第4号厚生年金被保険者として、厚生年金被保険者それぞれの種別が設けられ、一元化以降は共済加入期間、つまり第2号~第4号厚生年金被保険者期間については受給する年金も共済年金ではなく、厚生年金の対象になります。
 
一元化以降に65歳を迎えると、それぞれの種別ごとに計算された老齢厚生年金を受給することになります。
 

複数の種別の厚生年金加入期間がある場合と繰下げ

会社員だけでなく公務員や私学教職員としても勤めたことがあり、複数の種別からの老齢厚生年金を受給する人が繰下げ受給する場合、老齢厚生年金同士は同時に繰下げをしないといけません。1つの種別の老齢厚生年金だけ繰り下げたり、それぞれの老齢厚生年金の繰下げ開始時期を異なる時期にしたりすることはできません。
 
【図表1】のように老齢厚生年金を68歳5か月、老齢基礎年金を69歳10か月で繰り下げる人が、もし、会社員としての厚生年金加入期間と国家公務員としての厚生年金加入期間があって2種類の老齢厚生年金を受けられる場合は【図表2】のようになります。
 

 
会社員以外に国家公務員期間がある人など、複数の種別の厚生年金加入期間がある人の繰下げ受給については、全ての老齢厚生年金を合算した上で考えなければならないことになるでしょう。
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 
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