2020年企業の賃金改善に関する意識とは?私たちの給料はどうなる?
ファイナンシャルフィールド / 2020年3月10日 9時0分
昨年10月の消費税率引き上げで、家計の負担が増したと感じる人は多いのではないでしょうか。少しでもお給料が上がるといいな、と誰もが思っているはず。 政府は経団連に7年連続で賃上げ継続を要請しているそうですが、私たちの賃金は今年は上がるのでしょうか?それとも下がるのでしょうか? 帝国データバンク「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査(※)」から、2020年に企業は賃金改善を行う見込みがあるのかどうか見てみましょう。
2020年は半数以上の企業が賃金改善を行う見込みがあると回答
2018年からの賃金改善状況の推移を見ると、2018年1月当初の改善見込みが56.5%であったのに対し、実際に改善したのは69.5%と、当初の見込みを13ポイント上回りました。
2019年も同様に、改善見込み55.5%に対し、賃金改善が68.3%と、2年連続で改善見込みを約13ポイント上回りました。2020年の見込みはというと、改善見込みは53.3%で、先の2年より低めに予想されていますが、改善しないという予想を33.1ポイント上回り、10年連続で「改善する見込み」となっています。
業績が厳しくても人材を確保するために賃金を改善せざるを得ない
賃金改善があると回答した企業からは、「労働力なくしては競争に勝てないので、企業の成長や生き残りを目指して社員を優遇したい」「景気が悪くなる一方、働き方改革などで労働条件が改善することは正直に言って経営は厳しくなるが、今後の人材確保を考えると対応せざるを得ない」「賃金上昇を販売価格に転嫁できないので、省力化投資などによる生産性向上で、人件費アップを吸収するよう努力する」というように、人材確保のために賃金を改善せざるを得ないという意見が多く見られました。
賃金改善の具体的内容は、ベースアップが45.2%(前年度比0.4ポイント減)、賞与が26.3%(同4.0ポイント減)となりました。ベアは4年連続で4割台の高水準となった一方で、賞与は2割台に減少しました。
労働力の定着・確保が賃金改善の理由のトップ
賃金を改善する理由の1位は、「労働力の定着・確保」が80.6%で過去最高を更新しました。人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向が強いようです。
一方で、「自社の業績拡大」(36.0%)が前年から4.9ポイント下回りました。業績がよくなったわけではないのに、人材を確保するために賃金を上げざるを得ない状況がうかがえます。
2020年度の総人件費が「増加」すると回答した企業は68.9%と、前回調査から1.6ポイント減となりました。業界別では「サービス」「運輸・倉庫」「建設」で高くなっています。
総人件費は平均2.85%増加すると見込まれますが、伸び率は前年度よりやや低下すると予想されています。そのうち、従業員の給与や賞与は総額で約3.7兆円、平均2.50%増加すると試算されます。
少子高齢化がすすみ、日本の人口は減少傾向にあります。半数近い企業が人手不足を感じているなか、人手不足の解消法として「賃金水準の引き上げ」が検討されています。
私たちにとっては給料が上がるのは確かにうれしいことですが、人件費が企業の業績を圧迫し、経営が立ち行かなくなるのは困ります。今後も人材不足が続くと思われるため、企業はシニアや外国人の活用や、システム化による業務の効率化などで、この問題を乗り越えて行かねばならないのではないでしょうか。
【出典】
※帝国データバンク「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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