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「幸運のバリカン」が導いたアジア王者の栄光 “最弱”世代が臨んだ五輪最終予選の秘話【コラム】

FOOTBALL ZONE / 2024年4月16日 18時30分

■2016年リオ五輪最終予選で手倉森はアジア王者に立った

 大岩剛監督率いるU-23日本代表は4月16日からパリ五輪切符を懸けてU-23アジアカップに臨む。グループリーグ初戦はU-23中国代表と対戦。8大会連続の五輪出場に向けての戦いが待ち受ける大岩ジャパン。過去には厳しい予選を勝ち抜いてきたなかで、従来のホーム&アウェー方式から、集中開催で準々決勝から一発勝負のノックアウト方式に変更となった2016年リオ五輪最終予選では、“最弱”と呼ばれた谷間の世代がアジアの頂点に立った。当時、今大会と同じカタール・ドーハで決戦に臨んだ手倉森ジャパンの秘話を振り返る。

 再び決戦がカタール・ドーハで行われる。8年前、“最弱”と呼ばれていた手倉森誠監督率いるU-23日本代表はこの大会から変更されたセントラル方式での最終予選に臨んでいた。メンバーには今のA代表で活躍を続けるMF遠藤航、MF南野拓実、FW浅野拓磨らをはじめ、南野と両エースとして期待されていたFW久保裕也、久保と山口県・鴻南中で同学年だったMF原川力らがいた。

 日本は着実に勝利を積み重ねて、決勝トーナメントに進出。準々決勝のイラン戦は苦しみながらも延長戦で相手を圧倒して3-0の勝利を収めた。そして、五輪切符が懸かった準決勝イラク戦。奇しくも、93年に「ドーハの悲劇」が起こった当地での“再戦”。しかも手倉森ジャパンとしては14年1月のU-22アジア選手権、9月の仁川アジア大会で連敗していた相手だった。絶対に負けられない戦いでヒーローになったのは原川だった。

 前半26分、久保が先制点を挙げたものの、同43分に同点弾を浴びた。1-1のまま膠着した展開が続いたが、後半アディショナルタイム3分、原川が劇的なミドルシュートを決めて勝ち越しに成功。激闘を制して、6大会連続となる五輪切符を掴んだ。


“幸運のバリカン”効果で大会3ゴールを挙げた久保裕也【写真:Getty Images】

 実はこの大会、久保と原川、2人を“縁の下の力持ち”として支えていた存在がいた。メンバーに招集されていたGK杉本大地だ。杉本はこの遠征中にバリカンを持参。イラク戦の前々日、京都サンガF.C.ユース時代から同期として切磋琢磨してきた杉本にバリカンを借りて、頭を刈り上げた。「頭が軽くなったからかな?」と冗談交じりに劇的な左足ミドル弾を振り返っていた原川だが、その前に刈り上げていたのが久保。グループリーグ第2戦タイ戦(4-0)の前に杉本に借りたバリカンで両サイドを刈り上げて、タイ戦では2得点。さらにイラク戦でも決めて大会3ゴールの活躍だった。

 杉本にバリカンを借りるとゴールを決める……“幸運のバリカン”と呼ばれていた。日本はその後、決勝で宿敵・韓国を浅野の2ゴールなど3-0で破って優勝。五輪切符を獲得するだけではなく、アジアの頂点に立った。

“最弱”と呼ばれた世代が大会中にどんどん成長を遂げて掴んだアジア王者の称号。今回も、決して楽な道程ではない。日本はグループリーグで16日に中国と、19日にアラブ首長国連邦(UAE)と、22日には韓国と対戦する。パリ五輪最終予選を兼ねた同大会では16か国が参加し、グループリーグを経て各組の上位2か国が決勝トーナメントに進出。そこで上位3か国に出場権が与えられ、4位はアフリカ予選4位のギニアとのプレーオフに回る。それでも、短期決戦でチーム力を高め、必ず世界への挑戦権を手にしてもらいたいものだ。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)

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