年末に突然の電話…妻に見抜かれた「行きたい顔してる」 地元愛を覆して移籍した理由【インタビュー】
FOOTBALL ZONE / 2024年12月30日 7時40分
■水戸ホーリーホックの松原修平、32歳にしてキャリアハイの1年を過ごした
水戸ホーリーホックのGK松原修平は、1年前のちょうど今頃には想像もできなかった年を過ごした。昨年12月30日に北海道コンサドーレ札幌から水戸への完全移籍が発表。一見よくある移籍に見えるが、松原にとっては特別な意味を持つ決断だった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全3回の1回目)
◇ ◇ ◇
「30歳でコンサドーレに帰るということは夢でもありましたし、一人の選手としてすごく誇りだし、夢みたいな時間を過ごさせてもらいました。京都から札幌に行くときに、選手としてもそうだけど、今後どうやってこのチーム、北海道に関わっていけるか、というところまで考えて選んだ道でもありました」
北海道函館市で生まれ育った松原にとって、札幌でプレーすることは幼少期からの夢だった。中学生からは札幌のU-15、U-18とステップアップしたが、待っていたのはトップチームに上がれないという現実。しかし、ファジアーノ岡山でプロのキャリアをスタートし、紆余曲折を経て2022年に札幌に帰ってきた。
実際、夢にまで見た札幌での日々は充実したものだった。一方で、第3GKという立場では試合に出るチャンスはほぼゼロ。「自分の中では、全然違うキーパーになってきたなという実感があって。これ、このまま終わりたくないなって」。このまま引退して指導者へ、という人生設計に迷いが生じた瞬間だった。
「ちょうど水戸からオファーもらった時は、妹夫婦の家で過ごしていて、前の日にちょっとしたパーティーで、来年もよろしくねみたいな話をして寝ていたんです。午前中だったんですけど急に電話が来て、それを聞いた瞬間に『うわぁ!』って。すぐ横にいた妻に相談したら『行きたい顔してるよ』みたいな」
大好きな地元と愛するチームに別れを告げ、「もう戻る気もないし、水戸に骨を埋めるつもりで来た」と覚悟を決めた。そして、32歳となるシーズンでの新天地1年目を終え、J2で26試合に出場したのはキャリアハイ。「ここに松原修平がいる、というところを見せたかった」という目標通りの存在感を示した。
確かな自信を掴んだ裏で、心が折れそうになる時期も過ごした。3月16日に行われた徳島ヴォルティス戦、1-1で迎えた後半ATにパンチングの目測を誤って痛恨のオウンゴール。「この日は初めて息子と一緒に入場した試合で、息子は覚えてないと思いますけどショッキングなミスをしてしまって」と振り返る。
「そこから2か月ぐらい出られない時期が続いたんですけど、正直、頭の中は全然切り替えられていなかった。それでも自分のルーティン、試合に臨む1週間のそういうところだけは絶対に崩さないでおこう、頭ではなく身体は常に試合に出る準備をしておこうというなかで、徐々にメンタル面も切り替えられた」
ちょうどその頃に監督交代もあり、再びレギュラーの座を奪い返すことに成功。「頭とか心じゃなくて、身体もそういう準備をやめてしまったら、あのタイミングで試合に出ることはなかった。崩れなくてよかったなって」。そう語った表情には充実感が伺えた。松原修平という男の生き様が、垣間見えた気がした。(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)
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