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日本美女目録 山本陽子という女優 「小指を噛んだ」重要なダイイングメッセージ…小川真由美と山本陽子に対比の妙 「八つ墓村」(1977年)

zakzak by夕刊フジ / 2024年5月10日 11時0分

和服の似合う人だった(夕刊フジ)

今日は「八つ墓村」(1977年、野村芳太郎監督)でこわ~い役を演じた山本陽子を見ることにしよう。

テレビのCMで「タタリじゃ~!」というのを記憶している方も多いだろう。日本中の子供が口にしたはずだ。ドリフターズがコントにも取り入れたほど人気になったキャッチコピーだ。

原作はご存じ横溝正史のベストセラー小説。まず68年、この推理小説が「週刊少年マガジン」でマンガになると大人気に。これに目を付けた角川書店が横溝作品を次々に刊行すると、角川と東宝が映画化に動き出し次々と版権を獲得していった。

ところが野村芳太郎の息子・芳樹は個人的に横溝と親しく、「八つ墓村」の映画化権はすでに手にしていたのだ。

というわけで、東宝は76年に「犬神家の一族」を市川崑監督、石坂浩二=金田一耕助で制作し、空前の大ヒットを記録。以後も「悪魔の手毬唄」「獄門島」と続く。

一方「八つ墓村」は角川と松竹の意見が対立し、松竹が単独で制作することに。だから金田一もハカマ姿ではなく、東宝との違いを前面に出してミステリーというよりホラー色が強くなっている。特に山﨑努が村人を惨殺するシーンは目を覆う出来となった。

山本は辰弥(萩原健一)の異母姉の多治見家の春代という役。生誕の秘密を辰弥に教える。子宮筋腫のため離縁され、多治見家に出戻っており、やがて事件のキーマンとなる。

一連の事件の犯人と誤解され、村人に襲われた辰弥を近くの鍾乳洞にかくまうことに。しかし食事を届けに行く途中、何者かに襲われ殺されてしまう。そして死に際に彼女は重要なダイイングメッセージを残した。

「犯人は誰だか分からなかったが、相手の小指を噛んだ」と辰弥の腕の中でそう伝え、息絶える。これが決め手となって犯人が分かることになるが、ファンは口をそろえて匂い立つ美しさの小川真由美と、そそとしたたたずまいの山本陽子に目を奪われたと語ったものだ。対比の妙か。これは衆目の一致するところだろう。

それにしてもこの映画の配役は実にぜいたくだ。主役だって渥美清の金田一ではなく萩原なのだから。それだけ山本と小川のシーンが光る。 =敬称略

(望月苑巳)

■山本陽子(やまもと・ようこ) 女優。1942年3月17日生まれ、東京都出身。第7期日活ニューフェースとして芸能界入りし、63年に女優デビュー。2024年2月20日、81歳で急逝した。

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