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岩田明子 さくらリポート 改元から5年「令和」に込めた安倍元首相の思い、国書由来の元号にこだわり 「皇位継承」の議論、おざなりにしてはならない

zakzak by夕刊フジ / 2024年5月8日 6時30分

令和改元から今月1日で5年を迎えた。当時の安倍晋三首相のもとで「令和」という元号が誕生した経緯を振り返りつつ、安倍氏が心を砕いた「安定的な皇位継承」の問題も考えたい。

令和は当初、新元号の候補に挙がっていなかった。政府内では「万和(ばんな)」や「英弘(えいこう)」などが有力視され、令和が追加案として登場したのは、新元号が発表される5日前、2019年3月27日のことだった。

安倍氏は、「史上初となる国書由来の元号」にこだわっていた。

「大化」(645年)から「平成」まで計247あった元号は、これまで全て中国の古典(漢籍)に由来してきた。令和は、わが国最古の歌集「万葉集」の梅花歌三十二首の序文「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」から引用されている。

安倍氏は19年3月29日、皇太子殿下(現天皇陛下)に次のように説明した。

「これは万葉集を編纂(へんさん)した大伴家持(おおとものやかもち)の父親である大伴旅人(たびと)が作った歌の序文の引用で、日本古来のものです。咲き誇る梅の花のように、日本人一人一人に輝いてほしいとの意味が込められています」

皇太子殿下はこの言葉に、うれしそうな表情でうなずかれたという。安倍氏は手応えを感じ、発表当日の全閣僚会議に臨んだ。会議では一部から異議を唱える声も上がったが、大半の閣僚が令和を推した。最終判断を一任された安倍氏は「国書である万葉集を典拠とする『令和』でご了解いただきたい」と述べ、議論をしめくくった。

日本古来の伝統にこだわっていた安倍氏は、今後の皇室のあり方についても、ずっと思案を続けていた。菅義偉政権時代に発足した皇位継承をめぐる有識者会議の議論では、安倍氏は陰ながら意見を述べていた。

有識者会議は21年12月の最終報告で、皇族数確保の具体策として、①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とする―の3案を示した。安倍氏の「現在の宮家を維持し、旧皇族の男系男子を養子とすることを可能にする」という意向が反映された形だった。

安倍氏の思いを継ぎ、菅政権、岸田文雄政権で議論を重ねた有識者会議が最終報告をまとめたが、その後の国会での議論は停滞していた。

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