うまちゃんの財ザク！ 電力８社の純利益が過去最高、２５年３月期は減益見通しも買われる タカラトミーは「ガチャ」好調で独自の動き

経済アナリストの馬渕磨理子さん（夕刊フジ）

米国労働省が３日発表した４月の雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門就業者数の増加が前月比で大きく減速、市場予想も下回りました。これを受け、日米金利差の縮小が意識され、外国為替市場ではドルを売る動きが進み、一時１ドル＝１５１円台まで円高が進みました。

円相場をめぐっては、２日早朝に政府・日銀による３兆円規模の為替介入があったとされますが、結果的には良いタイミングだったと思います。

米国は巨大ＩＴ５社の２０２４年１～３月期決算が出そろい、ｉＰｈｏｎｅが販売不振だったアップルだけが前年同期比で減収減益で、アルファベット（グーグルの親会社）、マイクロソフト、メタ（旧フェイスブック）、アマゾンとも純利益が過去最高を更新しました。減速感があるとはいえ、米国経済が大きく下がらない要因です。

国内では、連休もあったことから、医薬品や電力・ガスなど景気動向に業績が左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」が買われました。今週、来週は決算のピークですが、こういった銘柄は引き続き注目です。

連休直前に大手電力１０社の２４年３月期連結決算が出そろい、北海道、東北、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の８社の純利益が過去最高となりました。火力発電の燃料価格が下落したことが要因。前期は燃料価格高騰で８社が赤字でしたが、一転、１０社が黒字を確保。

ただ、２５年３月期は燃料価格下落の利益押し上げ効果もなくなる見込みで、８社が減益の見通しです。しかし、買われています。配当も結構出してます。九州電力は配当を２５円から５０円に増額。中部電力の５５円から６０円が物足りなく感じるほどです。配当政策によって株価に差が出ています。

個別で気になるのが、独自の動きをするタカラトミー。インバウンドの増加でカプセルトイ「ガチャ」など玩具の販売も好調です。また、心臓循環器の医療機器を扱う日本ライフラインも業績が良かったうえ、自己株式の公開買い付け（ＴＯＢ）の実施も好材料。

もう１つ、以前から注目している屋外用エンジン発電機のデンヨーも良い動きです。米国の需要も高く、円安も寄与してます。

■おまけのひと言

「経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は日銀が２５年末までに政策金利を０・７５％に引き上げると予測。私の予測は０・５％ですが、一応、緩やかな金利上昇で、実体経済も引っ張り上がると見ているようです」

■財ザク！　「貯蓄から投資へ」と提言する政府。その投資で少しでも財産アップを達成するために「うまちゃん」が有益な情報をザクザクとお届けします。

■馬渕磨理子（まぶち・まりこ）　経済アナリスト。日本金融経済研究所代表理事。イー・ギャランティ社外取締役。愛称・うまちゃん。１９８４年生まれ。滋賀県出身。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修士課程修了。大学時代はミス同志社。『ＬｉｖｅＮｅｗｓα』（フジテレビ系）など出演番組多数。新刊『収入１０倍アップ超速仕事術』（ＰＨＰ研究所）＝写真＝が話題。