ニュース裏表 安積明子 大逆転で選出の石破総裁 勝負分けたキングメーカーの差配と演説 決選投票前、高市氏の〝総理総裁気取りのスピーチ〟に反感か
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月2日 6時30分
自民党の石破茂総裁は1日召集の臨時国会で、第102代首相に指名。9月27日投開票の総裁選では大逆転で勝利した。混戦を検証する。
当初、知名度の高い小泉進次郎元環境相が、出馬した9人の中で頭ひとつ抜け、石破氏と高市早苗経済安保相の順で追う、という展開とされた。高市氏が石破氏に追い上げるなか、小泉氏は失速していった。
1回目の投票で、石破氏は「議員票46票、党員・党友票108票」の計154票と、高市氏の「議員票72票、党員・党友票109票」の計181票に、大きく差(27票)を付けられた。
小泉陣営では、菅義偉前首相と武田良太元総務相らが猛烈に働きかけて議員票を固めたが、党員・党友票が伸びなかった。結局、小泉氏は「議員票75票、党員・党友票61票」の計136票にとどまった。
決選投票でどちらに議員票を回すか。その決断で、菅、武田両氏らの〝未来〟が決まる。水面下で、キングメーカーたちがうごめいていた。
菅氏の持ち駒は当初、小泉、石破両氏と、河野太郎デジタル相の「小石河」のはずだった。だが、河野氏は所属する麻生派の麻生太郎副総裁が支援して除外された。小泉氏が脱落すれば、選択肢は「石破一択」だった。
そして、石破氏には、岸田文雄首相の呼びかけで旧岸田派の票が加算された。こうして、石破氏の議員票は189票に積み上がり、高市氏の173票を上回った。
決選投票の地方票は、都道府県連に1票ずつ割り振られ、「党員・党友票獲得の上位総獲り」だった。高市氏が獲得した党員・党友票は総数では石破氏を上回ったが、石破氏は地方票26票で勝ち、巻き返した。
それでも、1回目投票でついた27票差は大きい。一体、何が大逆転の原因となったのか―。
「決選投票の前に、高市さんが行った演説が良くなかった」
ある議員は、こんな見方を示す。
石破氏は、ひたすら自分の不徳をわびる〝土下座〟のような内容だった。一方、高市氏の演説は、能登の被災地に心をはせ、25年目を迎えた自公関係に言及するなど、〝総理総裁のスピーチ〟といったものだった。
「まだ当選していないのに、『もう総理総裁気取りか』といった反感を生んだ。自民党総裁選に勝てるかどうかという段階で、何も公明党に言及する必要はない」
自民党は「嫉妬」と「プライド」が渦巻く伏魔殿だ。この微差が勝負を決したとすれば、最高権力への道とは、何と恐ろしいものなのか。 (政治ジャーナリスト)
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