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1万本を見た映画記者 極私的スター名鑑 役所広司 こんな人生もいいなと思わせる〝平凡な男〟「です、ます」の丁寧な言葉遣い、素顔は非常に真面目で建設的

zakzak by夕刊フジ / 2024年5月8日 11時0分

色気のある俳優だ(夕刊フジ)

平凡な男を魅力的に演じるのは難しい。その俳優の普段の生活や人生観がさらけ出されてしまうからだ。役所広司は製作も兼任した「PERFECT DAYS」(2023年、ヴィム・ヴェンダース監督)でトイレの清掃員を魅力的に演じ、カンヌ国際映画祭の主演男優賞に輝いた。初老男のつましい日常生活に哀歓があり、こんな人生もいいなと思わせる。

千代田区役所の職員だった若き日の役所は仲代達矢の「無名塾」で演技を学んだ。デビュー当時はテレビや映画の時代劇で活躍する硬派のイメージだった。だが「Shall we ダンス?」(1996年、周防正行監督)で社交ダンスにのめり込む男を好演。米国でも大ヒットし、映画賞に欠かせない俳優になる。

筆者は「うなぎ」(97年、今村昌平監督)の撮影現場で初めて役所にインタビューした。この作品では、妻殺しの過去を持つ刑務所帰りの男を飄々と演じ、監督に2度目のカンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)をもたらした。

素顔は物腰の柔らかい人で構えたところがない。「です、ます」の丁寧な言葉遣いをする。筆者と親しかった今村監督は「役所くんは非常に真面目で建設的。オレが吸いかけのタバコを灰皿に置くと、さっと指でもみ消すようなヤツだよ」と語ったほどだ。

ハリウッド映画「SAYURI」(2005年、ロブ・マーシャル監督)出演や監督業にも挑んだ「ガマの油」(09年)で着実にステップアップ。最近では前科のある男が社会復帰に苦闘する「すばらしき世界」(22年、西川美和監督)が出色で、宮沢賢治の父親を演じた「銀河鉄道の父」(23年、成島出監督)では緩急自在の演技力を発揮。この秋には大型時代劇「八犬伝」(曽利文彦監督)が控えている。

■役所広司(やくしょ・こうじ) 1956年1月1日生まれ、68歳。長崎県出身。

■垣井道弘(かきい・みちひろ) 1946年、広島県三原市生まれ。明治大学文学部卒。週刊誌「女性自身」の記者を経て、映画評論家になる。著書に「MISHIMA」(飛鳥新社)、「今村昌平の製作現場」(講談社)、「ハリウッドの日本人」(文芸春秋)、「緒形拳を追いかけて」(ぴあ)などがある。

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