大鶴義丹が父・唐十郎さんへの思い語る 舞台で最期看取れず 役者人生を「粋な演出で教えてくれた…最期まで演劇人」
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月8日 6時30分
今月4日、急性硬膜下血腫のため84歳で死去した、アングラ演劇の旗手で小説家としても活躍した劇作家で演出家、俳優の唐十郎さん。「状況劇場」を主宰し、アングラ演劇を切り開いていった先駆者であり、麿赤児、根津甚八、小林薫、佐野史郎といった多くの名優を輩出してきた演劇界の巨星が旅立った。くしくも4日は、ライバルだった劇作家、寺山修司さん(1983年没、享年47)の命日でもあった。
唐さんは、今月1日午前中に自宅で転倒。東京都中野区内の病院に救急搬送されたが、4日に親族が見守る中、息を引き取った。通夜、葬儀の日程は未定だが、近親者のみで執り行う。
1963年に「シチュエーションの会」を立ち上げ、翌年、劇団「状況劇場」に改名。67年に新宿・花園神社に特設した「紅テント」で「腰巻お仙―義理人情いろはにほへと篇」を上演。寺山さんと競い合いながら、アングラ演劇界をリードしていった。
70年に「少女仮面」で岸田国士戯曲賞。小説家としては78年に「海星・河童」で泉鏡花文学賞、83年に「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞している。
88年に状況劇場を解散後、劇団唐組を結成。俳優として舞台のほか、映画「カンゾー先生」やNHK大河ドラマ「黄金の日日」などにも出演した。2012年に自宅前で転倒して頭を打ち、その後は療養生活を送った。21年に文化功労者。
唐さんの長男である俳優、大鶴義丹(56)は出演舞台の初日だったため最期を看取れなかったが、舞台後の会見で「〝役者は親の死に目に会えない〟とよくいうけど、父を看取れず、『役者ってそういう人生なんだよ』って粋な演出で教えてくれた。最期の最期まで演劇人でした」と語り、「一人の役者が一生でやりきれないぐらいたくさんの戯曲を、宝物を残してくれた」と感謝の言葉も。
くしくも唐作品で初めて主演した「ジャガーの眼」を年内に上演する予定であり、「一番の弔いは、とにかく芝居をすること」と誓った。
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