深層韓国 夕暮れを愛する国は〝旭日〟嫌い 韓国の保守派・呉世勲ソウル市長肝いり「グレート・サンセット計画」
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月10日 6時30分
わが「旭日旗」のことを、韓国では2010年代の初めまで「旭日昇天旗」と呼んでいた。太陽が昇る様を示す図柄と認識していたのだ。10年代中盤から、同国の反日マスコミは「戦犯旗」と呼びはじめ、扇動に弱い韓国民の多くは旭日旗を忌み嫌うようになった。
しかし、別のファクターもあるようだ。日の出よりも、日の入りを好む国民心理だ。
ソウル市の呉世勲(オ・セフン)市長は、保守陣営の次期大統領候補の1人だ。保守体制の危機が続くなか、彼は何を語るのか―。韓国マスコミは注視しているようだ。
ところが、彼がソウル市長に返り咲き就任してから3年余、語る内容は「いかにして自由体制を守るか」「与党の再建はどう進めるべきか」といった次元とはほど遠い。
「わが首都のサンセット=日没時の美しさ」の強調ばかりが印象に残る。とりわけソウルを流れる漢江(ハンガン)の夕暮れへの思い入れが強い。
ソウル市のプレスリリースを見れば、「漢江と夕日が織りなす、さまざまな絶景スポットを構築し、市民や観光客の視線を引き付ける」というのが、彼の政策ビジョンの中心にある。韓国メディアは概して好意的に伝えている。
メディアの関連見出しを紹介しよう。
「漢江に世界最大の観覧車建造へ グレート・サンセット漢江プロジェクト」(中央日報22年8月8日)
「グレート漢江プロジェクト、再び水上ホテルを検討」(AFP24年1月6日)
「漢江に2400人収容の水上フードゾーンを構想」(マネートゥデイ24年4月14日)
同市長は4月24日、グレート・サンセット漢江プロジェクトの続編に当たる「漢江水上活性化総合計画」を発表した。
水上オフィスに水上ホテル…箱もの満載だ。そこにたどり着くための水上バス導入計画もある。漢江が氷結した際はどうするのかも気になるが、目を引くのは「ソウルの夜景を一望できる施設群」の構築だ。
ここに日の出や、降り注ぐ陽光を愛(め)でる気持ちは探しえない。彼らが好むのは日の入りであり、都市の夜景なのだ。
最近、韓国外交省の高官は「日韓国民の価値観は全く同じだ」として、日韓間の旅券廃止を提唱した。だが、価値観うんぬんの前に、「お日さま」に対する感覚だけ見ても、両国民は違う。
サンライズを憎み、サンセットを好む―沈みいく国運にピッタリだ。 (ジャーナリスト)
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