上がらぬ球速「さすがにおかしい」 困惑の西武右腕…ホーム開催も“地の利”生かせず
Full-Count / 2024年4月10日 13時6分
■ゴールデン・グラブ賞6度の名手が一塁へ悪送球
■ロッテ 5ー0 西武(9日・大宮)
地方球場に吹き荒れた強風。ソフトバンクと並んで首位タイの西武は9日、埼玉県営大宮公園野球場で行われた主催試合で、ロッテに0-5で敗れた。慣れない土のグラウンド、強風が試合展開に影を落とした。
珍しいシーンだった。両チーム無得点で迎えた4回の守備。1死一塁でロッテの5番・山口航輝外野手が放ったボテボテのゴロを、6年連続ゴールデン・グラブ賞の名手・源田壮亮内野手が前進し捕球した後、一塁へ悪送球。失策が記録され、1死二、三塁にピンチが広がり、この回の2失点につながった。
松井稼頭央監督は「そこは(投手との)助け合い、共同作業ですから、また援護できるようにやっていきたいですね」と話した。県営大宮のあるさいたま市付近はこの日、午前11時台に13.5ミリの大雨が降り、試合開始後も水を多く含んだ土の内野は、ゴロの打球速度が遅い状態だった。普段のドーム球場の人工芝とは大きな違いがあった。
さらに試合中、ホームからレフト方向へ強い風が吹いていた。良くも悪くも、この風に影響されたのが「6番・左翼」でフル出場した岸潤一郎外野手だ。7回の打席でセンター方向へ飛球を打ち上げると、ぐんぐん伸びてフェンスを直撃し、二塁打となった。「今日の風はヤバかったです。あの打席ではしっかり乗ってくれました」とうなずいた。
しかし、0-3で迎えた8回の守備では裏目に出る。2死一、二塁でロッテ・田村龍弘捕手がレフトへ放った飛球を前進守備を敷いていた岸は必死に追走し、ダイビングキャッチを試みたが、頭上を越されて2点二塁打となった。
■平良は速球平均143キロに「自分の感覚では変わりませんでした」
この打球の記録は二塁打で、松井監督も「こちら(首脳陣)が前進守備の指示を出していましたし、その上あの風ですから」と責めなかった。
岸自身は「言い訳にはできない」とした上で、「打った瞬間に視線を切って走り出せればよかったのですが、詰まったように見えた分、スピードに乗れず、打球は思ったより風に乗って落ちてきませんでした」と説明。「捕れたか捕れなかったかはともかく、僕としては失敗です。悔しいです」と唇をかんだ。
昨季まで西武に在籍し、現役ドラフトでロッテに移籍した愛斗外野手も代走で途中出場したが、ライトの守備に就いていた8回、右翼線付近のファウルフライを落球し、失策が記録されるシーンがあった。岸は「あいつがエラーするなんて珍しい。あいつが落とすくらいですから、難しかったのだと思います」と昨季までのチームメートを思いやった。
一方、先発の平良海馬投手は7回を7安打3失点で今季初黒星(1勝)を喫したが、4回の2失点は源田の失策絡みのため、自責点は1のみ。「それほど気にすることはないと思います」と納得顔だった。
ただ、普段は150キロを軽く超えるはずのストレートの平均球速が、この日に限っては143.4キロ。137キロと表示されたストレートも2球あった。「さすがにあれはおかしい。参考にならないです。自分の感覚では普段と変わりませんでした」と振り返った。
また、左翼席の西武応援団は“大宮限定チャンステーマ”を合唱してムードを盛り上げたが、残念ながら得点には至らなかった。西武は昨季、県営大宮では1勝1敗。今季ももう1試合、6月26日に日本ハム戦が予定されている。年に2度限りの球場だが、次回は経験を生かすことができるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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