走塁ミスに失策…「接戦で勝てない」課題を克服できたワケ 親子で“真剣勝負”の効果
Full-Count / 2024年5月26日 7時50分
■試合展開や相手の特徴も想定…香川・丸亀郡家軟式野球スポーツ少年団のノック
準備と反復練習で課題を克服した。香川・丸亀郡家軟式野球スポーツ少年団(以下、丸亀郡家)は昨年、全国大会出場を果たした。近年は接戦を落とす悔しい負け方が続いていたことから、試合の場面を細かく想定してのノックや座学を強化。週末は親子ゲームを取り入れて、実戦の経験を増やしている。Full-Countでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。九座正宣監督に話を聞いた。
香川県内の大会では上位まで勝ち進むことはできた。だが、緊迫した試合で競り負けて頂点まであと一歩届かない戦いが続いていた。コーチを経て、おととし12月からチームを指揮する九座監督は実戦形式のノックに力を入れた。
「走塁ミスやエラーで流れを失ったり、失点したりする敗戦が目立ちました。選手たちは得点したい気持ちが強すぎて冷静さを失っていました。原因は試合で訪れる状況に慣れていないことにあるのではないかと考えました」
試合形式のノックを取り入れるチームは多い。ただ、丸亀郡家の内容は設定が細かい。アウトカウントや走者はもちろん、点差や打順、試合展開や相手チームの特徴など、できるだけ公式戦に近い形を想定する。
練習場所のスペースが十分でない事情もあり、試合形式のノックは小学1年生から6年生まで一緒にこなす。走者の役割を任された小学校低学年や野球未経験者は最初、飛球で塁を飛び出したり、投手への正面のゴロで三塁から本塁に突っ込んだりする。
だが、必要な動きを繰り返し伝え、同じ状況での練習を反復するとミスが減っていく。上級生が下級生にポイントを教えたり、選手同士で動きの確認をしたりする好循環も生まれているという。
丸亀郡家軟式野球スポーツ少年団の集合写真【写真:チーム提供】
■真剣勝負の親子ゲーム…課題がある時は試合を止めて修正
実戦経験を積む貴重な場となっているのが、週末に開催する親子ゲーム。選手と保護者が真剣勝負する。チームで共有すべき課題が見つかった時はプレーを止めて、ミスを繰り返さない方法を話し合う。九座監督は「練習試合と違って、1つ1つのプレーに時間をとって、理解を深めながら試合できるところがメリットです。親子で一緒に練習できるのは小学生までだと思うので、希望する保護者には普段から積極的にチームに関わってもらっています」と話す。
守備や走塁は座学でも強化している。平日のナイター練習で雨が降った時は、試合形式のノックを頭でイメージする練習に変える。高学年は選手同士で話をしながら、状況に応じたプレーを確認。低学年はクイズ形式で知識を深めていく。九座監督は「低学年はあっという間に座学の時間が終わると言っています。座学で頭の中を整理してグラウンドでプレーの精度を高めています」と語った。
試合を想定した練習を強化した結果、昨年は香川県代表として「阿波踊りカップ全国学童軟式野球大会」に出場した。接戦になるほど、状況判断や細かいプレーの重みが増す。丸亀郡家は6月3日から開催される「少年野球フェスティバル」に登場予定。普段から試合の場面をイメージできていれば、頭も体も自然と動く。(間淳 / Jun Aida)
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