世界最高峰スペインフットサルリーグで指揮を執る日本人監督 鈴木隆二(後編)
ゲキサカ / 2014年11月14日 9時37分
指導者1年目の12-13シーズン、鈴木隆二はアレビンBを指導すると、チームはカタルーニャ州2部リーグで見事に優勝を飾る。13-14シーズン、アレビンBの選手たちは、そのままアレビンAに昇格。再び鈴木が指揮を執ったチームは、カタルーニャ州1部リーグを2位で終え、14-15シーズンは、バルセロナなども所属するカタルーニャ州最高峰のディビジョン・デ・オノールに昇格した。
一方、現役選手としては、12-13シーズン、3部から昇格した2部Bチームのサント・アンドレウで中心選手として活躍し、チームを2部B残留に貢献。翌13-14シーズンは、2部Bへの昇格を果たしたマントレイに復帰し、7位でシーズンを終えて2部B残留を決めた。
13-14シーズン終了の約2か月前に、鈴木より一足先に現役を引退し、会長兼監督に専念していたジョルディ・ガイ氏に呼び出された鈴木は、「来シーズンはどうしたい?」と聞かれたという。指導者にやりがいを感じていた鈴木は「より指導に力を入れて行きたい」と答えた。すると、驚きの答えが返って来た。
「トップチームの監督を、やってくれないか?」
予想もしていなかったオファーに、鈴木は面食らった。「あまりにも大きなステップなので、正直なところビックリしましたよ。さすがにその場で即答はできなかったので、『1日時間をください』って頼みましたね」。育成年代のチームを2年間指導しただけで、トップチームの監督が務まるのか。そんな不安がなかったわけではない。それでも、「こんな大きなチャンスは、そう何度も来ない。これはチャレンジするべきだ」と自身を鼓舞し、鈴木はジョルディ・ガイの申し出を引き受けることにした。
「すべて自分の責任になりますし、どういう結果になっても受け入れる覚悟はあります。結果を出すために、全力を尽くす」。シーズン前、そう決意を述べた鈴木は、選手たちにも同じ覚悟を持って戦うことを求める。
アレビンBを優勝した1年目、アレビンAで準優勝した2年目、ともに順風満帆だったわけではない。チームは格下に敗れると、選手ばかりか、保護者も落胆し、リーグ戦の先を読み「今年はもう難しいね」などと話していたという。だが、鈴木だけは「関係ない」と言い続けた。「シーズン中に、絶対にまた何か起こる。俺達が勝ち点を落としたように、必ず何かが起こる。大事なのは、最後まであきらめないことだ。オレは、最後の試合が終わる瞬間まで全力を尽くす。それを約束する。おまえたちは付いてくるか? 付いてこないか?」。そう問いかけて、子供たちの闘争心を駆り立てた。結果として、2部リーグを勝ち点1差で逆転優勝に導いている。
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