ハリルJが求めるノイアー型GKスタイルに挑戦する権田
ゲキサカ / 2015年6月8日 23時32分
「前へ出ることを恐れるな。しっかり前へいけばより広いエリアを守ることができる」
リカルド・ロペスGKコーチの声が日産スタジアムに響いた。
1日から千葉県内で海外組のみのトレーニングに参加していた川島永嗣(スタンダール・リエージュ)に加え、8日の横浜合宿から3人の国内組GKも合流。4人がそろってのGKトレーニングで徹底して要求されていたのは、「前に出ることを恐れるな」ということだった。
GK権田修一(F東京)によると、「“前に”ということは、リカルドコーチがアギーレさん(前監督)のときから言っていること」だ。
ロペスGKコーチは、前に出ることが大切な理由として、GKイケル・カシージャス(レアル・マドリード)とGKマヌエル・ノイアー(バイエルン)の例を挙げて説明。攻め込まれてゴールラインまで下がってしまったカシージャスが重心バランスを崩して失点してしまった様子と、ノイアーが前に出てFWにプレッシャーを与えて防ぐ様子を身振りで真似しながら、「前に出るとゴールを小さくすることができるし、FWは顔を上げてGKを見ないといけないのでシュートをふかす可能性が高まる」と言った。カシージャスはスペイン代表時代の後輩GK。「世界一になったGKでもこうなるとやられてしまう」と説いた。
「僕の場合はチームでは前ではなく、どちらかというと後ろでポジションを取ることが多いので、より強くそこを言われることが多い」という権田は、様々なやり方を柔軟に受け止めようとしている。
「いろいろなコーチがいて、色々なやり方がある。チームではチームのやり方、代表では代表のやり方だが、こっちではリカルドコーチの求めることをやろうと思っている」と、ハリルJ流のポジショニングをマスターするために余念がない。
ハリルJの初陣となった3月のチュニジア戦で先発したことで、少なくとも半歩リードしているという自信があってもおかしくはないが、権田はこれを否定した。
「アドバンテージはない。東口選手にしても、西川選手にしても川島選手にしても、誰が出てもこの3人なら高いレベルで試合ができるのではないかと思う。チュニジア戦は自分が出たが、有利とは考えていない」
岡田ジャパンからザックジャパン、アギーレジャパンまで3世代にわたってゴールマウスを守ってきた川島が所属チームでポジションを奪われていることで、ハリルJの守護神争いは混沌としている。権田は「毎日しっかりやって良いコンディションで準備することが大事」と冷静に前を見つめた。
(取材・文 矢内由美子)
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