[総体]PICK UP TEAM vol.3_長崎南山高(長崎)
ゲキサカ / 2015年7月31日 15時24分
スタイル変更とダブル主将制度で、悲願の全国出場を勝ち取った。長崎南山高は、長崎県内では以前から強豪として知られているが、全国的には無名の存在だ。07年の選手権予選で21連覇中だった国見高を倒したことは話題となったが、その大会でも全国出場を果たせず、存在のアピールに失敗。ニュースの見出しは「国見、敗れる」でしかなく、全国に名を轟かせることはできなかった。しかし、創部48年目の今季、ようやく悲願を果たした。リーグ戦で逆転負けを喫した諫早商高に3回戦で完勝(3-0)して波に乗ると、評判の高かった長崎日大高(1-0)、国見(1-1、PK4-2)を撃破。国見戦では186センチの控えGK北川潤也をDFとして起用し、相手のロングスローを跳ね返すという奇策も見せた。そして全校応援の勢いを背に、決勝で創成館高を2-1で破って頂点に立った。
長崎南山は中学、高校が同じ敷地にある私立校だ。中学は全国大会に出ることも多い強豪。丁寧にパスをつないで攻めるスタイルが特徴であり、例年は高校でも継続して来た。しかし、MF井川樹は「チームコンセプトは、カウンター。例年に比べて技術がないと先生にも言われていて、パスじゃどうにも崩せんということで、つなぐのをやめて、セットプレーなどを強みにしている。1つ上の学年から5バックとかパワープレーはやり始めた」と今季はスタイルを変更していることを明かした。3年前から強豪のラグビー部を参考に取り入れたウェイトトレーニングの効果も新しいスタイルにマッチ。2年生DF太田晃輔は「全体的に身長はないけど、身体は強いので当たり負けはしない」と守備力に自信を示した。
そして、躍進の裏側には2人の主将の存在もある。県予選決勝で2得点を挙げる活躍を見せたMF早川祥平と、安定性と気の利いたプレーが持ち味のボランチ、井川だ。村里英樹監督は「僕は井川を主将にしようと思ったが、早川だろうという雰囲気がチームの中にあった。大体、指示を出すのは早川だけど、2年生の頃は言葉がきつく、下級生が委縮するんじゃないかと思ったし、全体からの信頼は井川の方が高いと思った。今までは主将が1人、副主将が2人。でも、やっぱり主将の責任が負担になることがあった。それなら逆に主将2人でどうかと思った。意外とうまく行ったと思う」と笑みを浮かべた。積極的にリーダーシップを取る早川と、フォローの上手い井川のコンビが、チームの一体感の源となっていることは想像に難くない。太田は「勝ち上がる毎にコミュニケーションが増えて一体感が出てきた」とチーム内ミーティングの効果が大きかったことを証言した。
一体感と堅守速攻で重い歴史の扉を開けたチームは、多くの先輩の思いも胸に秘めて全国大会に臨む。ようやく訪れた好機を一度の幸運に終わらせる気はない。V・ファーレン長崎でU-18昇格を見送って父の母校である長崎南山を進路に選んだ1年生FW西田晃典は「自分の代で全国に連れていくつもりだったけど、とにかく優勝したかったので素直に嬉しい。自分は中学2年の時に日本クラブユース選手権(U-15)で全国大会に出場したけど、ほかのチームとは差があり過ぎて何もできなくて悔しかった。もし全国で出場機会があったら、どれぐらい差が縮まったか知りたい。出場できなくても、県大会を連覇できるチームにしていきたいので、サポートを全力で頑張りたい」と父が届かなかった全国の舞台に胸を躍らせた。快足FW田川丈真は「初出場なので、今までの先輩の気持ちも背負って戦いたい。勝つ自信は、ある。でも一戦一戦がギリギリの勝負になると思うので、最後まで気持ちを切らさずに戦いたい」と意気込んだ。悲願の初挑戦は、シードにより2回戦から始まる。新田高(愛媛)と帝京三高(山梨)の勝者に臆することなくぶつかるだけだ。
(取材・文 平野貴也)▼関連リンク
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