東京V・FW高木大輔 「呼吸と一緒に涙が出てきた」、その背に負うもの
ゲキサカ / 2016年5月23日 12時36分
[5.22 J2第14節 東京V2-1清水 味スタ]
とめどなく流れた涙。その理由は本人にも分からない。10試合ぶりの勝利の喜びか、はたまた疲労のあまり身体が悲鳴を上げての涙なのか。90分間を通じて誰よりも走り続けたFWは、試合終了とともにピッチへ突っ伏すとその頬を汗ではなく、涙で濡らした。東京ヴェルディのFW高木大輔は「呼吸と一緒に涙が出てきて、止まらなかった」と言う。
東京Vは清水に2-1の逆転勝利を収め、10戦ぶりの白星を手に入れた。3月20日のJ2第4節・徳島戦(1-0)以来、約2か月ぶりの勝利だ。前半6分に先制されるも、同44分に大輔のゴールで追いつくと、前半終了間際アディショナルタイム2分にはMF高木善朗が得点を挙げ、2-1。そのまま逃げ切った。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間。両手を挙げてガッツポーズした大輔は、ピッチへ座り込み咆哮。右手で強く芝を叩いて、涙を流した。後輩のMF井上潮音に抱き起こされるも涙は止まらず。ユニフォームで目をぬぐって整列するも、再び膝に手をつき、感極まった様子をみせた。拭いても拭いても涙は止まらない。背負い続けてきた重い荷物は少し軽くなったようだった。
「試合が終わりそうなときから涙が出そうで。体力的にキツかったのもあって『もうやめてくれ! 早く終わってくれ! 勝ちたい!』という感じでしたね。もう試合が終わったら、呼吸と一緒に涙が出てきて、止まらなかった」
昨季はキャリア最多の7得点を挙げた大輔。それ以上の結果を残すと強く意気込んでいた今季だったが、開幕前にハムストリングを痛めて出遅れた。第4節・徳島戦で後半途中からようやく今季初出場。その後はコンスタントに出場していたが、第9節の長崎戦で再び負傷。その後の3試合では大事を取る形もあり、ベンチ外となっていた。4月末からの連戦で勝負を賭けようと意気込み、コンディションも上がっていた中での悔しすぎる出来事だった。
自身はピッチから離れ、チームは勝ちから遠ざかる日々。自分に出来ることは何かと自問自答した20歳は、まずはピッチ外でもプロ選手として“仕事”を全うすると覚悟。どんなときもチームを応援してくれるサポーターと向き合い続けた。負けが続くなかでも試合後には必ず『ツイッター』を更新。不甲斐ない試合をしたときには「申し訳ありません」とストレートに謝罪することもあった。
自身が出場したときも変わらずに更新は続けた。毎試合どんなに疲れていても、心が折れそうになっても、東京Vを応援してくれている人々がクラブから離れていかないようにと考えてのもの。
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