東京V・FW高木大輔 「呼吸と一緒に涙が出てきた」、その背に負うもの
ゲキサカ / 2016年5月23日 12時36分
昨季は「ハードワークを90分間続けられる選手にならないといけない」と口にしていたが、1年経って成長した姿を示した。「これを基準にやっていかないと、僕らは勝てない。今日のプレーを続けるのはきついですけど、きついからこそ勝ったときの喜びはデカいと思うので。これをベースにやっていきたい」。夏の暑さが近づく中、ハードワークは身体に堪えるが、求められているものは分かっている。
2-1で勝利した清水戦で流した涙。疲労から涙腺が崩壊したのかもしれないが、東京Vを背負うという思いの強さから、勝利による安堵で溢れ出たものにも見えた。そこには安堵や喜び、苦しさからの解放。様々なものが渦巻いていただろう。
試合直後こそ、涙を流していた大輔だったが、その後はベンチに座って一呼吸つくと、ヒーローインタビューでは一切涙は見せず。ハキハキとしたいつも通りの口調でサポーターへの感謝を口にし、堂々とした立ち居振る舞いでプロ選手としての気概をみせていた。
「長いシーズン、どんなことがあるかわからないですけど、どんなときも前を向いてやっていくことが大事」。弱冠20歳のFWは、チームを背負う覚悟を胸にプロ選手としての日々を過ごしている。背負いすぎなのではと心配になるほどに、クラブのあり方にまで思いを寄せ、プロサッカー選手としての振る舞いを貫く。それを見て、応援を続けよう、応援しようと思ってくれる人が一人でもいる限り、大輔のやっていることに意味はある。
そんな姿勢が報われないわけがない。今季2点目のゴールは勝利につながった。昨季からの通算で大輔が点を挙げた試合は7勝1分と無敗を維持している。ピッチ内外で自らに鞭打ちながら、あるべき姿を示し続ける。その先にどんな未来が待っているかはわからない。それでも涙を流した日々は、より強く自身のなかに刻まれていくだろう。それは血となり、肉となり、選手としての深みは増していくはずだ。
緑のサポーターとともに泣き、ともに笑いあう週末。その先にいつか緑の時代がやってくると信じて、ただひたすらに走り続ける。
(取材・文 片岡涼)
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