[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:「最高の基準」との邂逅(関東一高)
ゲキサカ / 2016年7月30日 16時15分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
ひとしきり言葉を交わした後、鈴木友也に「イチフナ凄かったね」と改めて声を掛けると、「凄かったです。やっぱり凄かったです。日本一はこういうレベルなんだなと思いました」と少し笑いながら言葉を紡いだ。その笑顔が苦笑いだったのか、それとも強い相手とやり合えた喜びだったのかはわからない。ただ、この70分間が関東一高の選手たちにとって、『最高の基準』になったことだけは間違いない。
昨年度の準決勝でも対戦した両雄のリターンマッチとして注目を集めていた、全国高校総体2回戦の関東一対市立船橋高。高校年代の最高峰に位置する高円宮杯プレミアリーグでも、EASTで首位を走っている市立船橋を相手に、東京を連覇で抜け出してきた関東一はあるテーマを持ってこの一戦に臨む。もちろん勝利を目指すことは大前提とした中で、「上に行くことも大切だけど、自分たちの一番の目標は選手権なので、そこに向けた自分たちの現在地を測るという意味でも『臆せずに自分たちのやるべきことをしっかりやろう』と言っていた」と石井賢哉。「総合力で言えば間違いなく今は日本で一番強いチーム」と小野貴裕監督も評する強豪との対峙から、肌でそのレベルを体感したいという意欲を携え、イレブンはピッチヘ駆け出した。
ゲームは5分も経たずに、その構図が明確になる。攻める市立船橋と、守る関東一。朝岡隆蔵監督をして、「ここに点取り屋がもう1人いたら90パーセントくらいです」と言わしめる完成度を誇った市立船橋は、ボランチの金子大毅が最終ラインの中央に落ち、その両脇に広がった原輝綺と杉岡大暉のCBコンビも「どっちかが必ず関わりに行こうということを言っている」という指揮官の命を受け、時にはサイドを駆け上がって攻撃参加。そのリスク管理を託された高宇洋と阿久津諒のセントラルMFも最前線まで顔を出すこともあり、アタックと回収を繰り返しながら、圧倒的にボールをポゼッションし続ける。ただ、「相手がボールを持って攻めてという時間が長いというのはわかっていたこと」と鈴木が話したように、当然それは関東一も想定済み。左右に揺さぶられながらも、ある程度我慢しながら粘り強くスライドを繰り返し、局面では体を張った好守を披露。昨年の準決勝をピッチで経験している石島春輔も「前半はある程度自分たちも守備で耐えられたので、それは良かったと思います」と振り返るなど、思ったよりも攻撃に出る回数こそ制限されたものの、守備面では手応えのある35分間を過ごし、前半を何とか無失点で切り抜ける。
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