[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:裏返った結果。カナリア軍団の3年生が見せた意地(帝京高)
ゲキサカ / 2016年9月13日 18時3分
さらに、今年は能力の高い1年生が入学早々に定位置を掴んだため、3年生がポジション争いから弾き出されることが多くなってしまう。「3年生のみんなでよく集まったりしていて、『底上げをしないと』とみたいな話はしているんですけど、実際に試合には出られていないので、3年生が頑張らなくちゃいけないなと思います。確かに1年生は上手いんですけど、3年生には戦う気持ちがあると思うので」と5月の時点で同級生について言及していたのは中瀬。最上級生として悔しい想いを抱えながら日々のトレーニングに取り組んでいても、1年生も実戦経験を積みながら同様に成長を重ねていく。夏休み最後の公式戦となったリーグ戦の駒澤大高戦でスタメンに名を連ねた3年生はわずかに4人。ゲームも決して内容が悪い訳ではなかったが、結果は1-4での敗北。勝利の味を忘れたまま、カナリア軍団の夏は過ぎ去ろうとしていた。
ところが、そんな彼らに2つの“運命のいたずら”が起きる。1つは『抽選』。9月10日から開幕する選手権2次予選で、いきなり昨年度のファイナルと同じカードが初戦から実現する。「相手が久我山と決まった時にみんなで『変に気負う必要もないし、自分たちはチャレンジャーだという意識を持とう』ということを話していました」と中瀬。練習にも俄然熱が籠もり出す。もう1つは『巡り合わせ』。そもそも9月4日にリーグ戦での対戦が予定されていたため、帝京と國學院久我山の間にはわずか7日の間に“連戦”が組まれることとなった。ただでさえデリケートなシチュエーションの中で、帝京は1年生で戦っているルーキーリーグの日程の影響で、リーグ戦は1年生不在で戦うことに。結果は1-0で國學院久我山が勝利したものの、中瀬は「PKで 1点を取られてしまったんですけど、後半は“押せ押せ”で自分たちのゲームだった」とその90分間を振り返る。ここまでほとんど実現することのなかった3年生中心のゲームで一定の自信を得たチームは、「練習も凄く声が出ていて、楽しくやれました」(中瀬)という状態で決戦の日を迎える。
9月10日。会場の駒沢補助競技場に入り切らない程の大観衆が詰め掛けたビッグマッチ。帝京のスタメンには8人の3年生が名前を連ねる。1年生の主力が相次いで体調不良を訴えた側面もあったとはいえ、6日前の残像が指揮官のメンバー選考に影響を及ぼしていたのは間違いない。「自分たちの代はひたすら1年生の時から走ってきたので、まず絶対に走り負けないということと、球際の強さと気持ちの面でも絶対に負けないと。相手の方が上手いですし、その気持ちでぶつからないと負けてしまうと思ったので、気持ちを出して戦おうと3年生みんなで話しました」と語る中瀬も「高校の中でベスト3に入るくらい大事なゲーム」と位置付けた一戦に、日比監督は総体予選から封印してきた黄色のユニフォームを用意していた。「『オマエら黄色を着ないで終わっちゃうかもしれないよ』というのはちょくちょく言われていたので、黄色を着られたというのは凄く嬉しかったです」と話したのは、昨年の西が丘でも中瀬同様にスタメン出場を果たしていた高橋心。いざゲームが始まると、「6日前はリトリートしてやって、相手と3、4m離れていて全部プレッシングになっていなかったので、今回はバチバチ行かせた」(日比監督)という修正も効果を発揮し、國學院久我山のスタイルを力強く封じ込め、前半の40分間を0-0で折り返す。
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