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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:裏返った結果。カナリア軍団の3年生が見せた意地(帝京高)

ゲキサカ / 2016年9月13日 18時3分

 その時は後半12分。小田楓大にいったん預けた遠藤巧は、その小田を追い越して左から鋭いクロスを上げ切ると、相手DFに当たってコースの変わったボールへ飛び込んだのは中瀬。「ちょっと入り過ぎちゃったんですけど、相手が触ってくれて当てるだけだった」シュートはゴールネットへ転がり込む。遠藤も小田も前述の駒澤大高戦にはスタメン起用されていなかった2人。6日前のチャンスを生かして、この“連戦”に解き放たれた3年生だ。「3年生で得点が取れて良かったです」と笑った中瀬。先制点を手にしたチームは守備の集中力も高い。1つ1つ相手のアタックを丁寧に潰し、時計の針を確実に進めていく。後半30分を過ぎて、ゲームクローズを図りたい日比監督が切った3枚のカードもすべて3年生。そしてアディショナルタイムも5分を過ぎた頃、試合終了のホイッスルが駒沢の空に吸い込まれる。高校選手権。黄色のユニフォーム。國學院久我山。1年前とまったく同じ3つの要素が揃った一戦で手にした、1年前とは真逆の結果。國學院久我山の清水恭孝監督も「やっぱり選手権に3年生の想いというのは必ず出ると思います。そういう意味で帝京さんの3年生が最後になって自分たちが苦しい想いをしていたエネルギーを溜めていたとすれば、監督も素晴らしいと思いますし、チームもそれだけ力を蓄えてきたのは凄いと思いますね」と素直に認め、日比監督も「この試合に関しては出ているヤツ、出ていないヤツにかかわらず3年生がすべてかなと。3年生の力でこうなったかなと思います」ときっぱり。シーズンを通じて苦しく、そして悔しい想いを重ねてきた最上級生の“意地”が、昨年の先輩も果たせなかった『久我山撃破』を堂々と手繰り寄せた。

 もちろんここがゴールではない。「ここからです。まずは久我山ということで、次の相手が修徳だとか暁星だとかは考えていなかったので、今日の勝利も忘れて、また練習に身を入れて一戦必勝の気持ちで戦っていきたいと思います」と中瀬はすぐ1週間後に迫る修徳高戦に向けて気を引き締める。ただ、「自分たちの力が100パーセントだとしたら、120パーセントの力を出し切ったんじゃないかな」と日比監督も1年前より“20パーセント”の上積みを口にするような國學院久我山との一戦をモノにした手応えは、選手の中にも確かな感覚として残っているはずだ。中瀬は以前、「“古豪”と言われていていることが正直悔しくて、去年も惜しい所まで行っても『それでもやっぱりダメか』と言われたりもしているので、今年こそはという想いがあります」と話してくれた。カナリア軍団が復権を高らかに歌い上げるのは、7年ぶりの全国切符を手にした時だけであることは言うまでもないが、黄色のユニフォームを纏った彼らがそれを成し遂げる可能性は1週間前より確実に、かつ格段に上がっている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
【特設】高校選手権2016

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