[NB×横浜創英高]現役時代は俊輔とプレーしたサッカーエリート、“脱サラ監督”が10年目の悲願へ…横浜創英が初の全国選手権出場を目指す
ゲキサカ / 2016年10月22日 20時44分
柔和な表情を浮かべながら、39歳の指揮官はこちらに近づいてきた。「初めまして。宮澤です。いつも拝見してます」。丁寧なあいさつをしてくれたのは横浜創英高を率いて10年目を迎える宮澤崇史監督。今春の総体予選では、準決勝で母校の桐光学園高を下し、神奈川県チャンピオンに導いた。
ただ練習が始まると、その表情は一変する。指示を聞く選手たちの表情からも緊張感が伝わる。「すごくメリハリがある人。選手のことを考えて、調整してくれます」(GK宮島大知)。「厳しい監督なので、数えきれないくらい怒られてきましたが、サッカーに対してすごく熱い人です」(主将DF市原亮太)。昨年からスタメンのほとんどを変えることなく戦ってきた選手たちとは強い信頼関係で結ばれている。
宮澤監督は桐光学園出身。元日本代表MF中村俊輔(横浜FM)の一学年先輩で、一緒に第74回全国高校サッカー選手権に出場したサッカーエリートだった。卒業後は法政大に進学し、サッカー部に所属。4年生の時にはキャプテンを務めた。ただ大学卒業後はプロからのオファーがなかったことから、プレーヤーとしての引退を決断。民間会社に就職し、サラリーマン生活を始めた。
しかしサッカーへの情熱が衰えることはなかった。「大学まで生活の中にサッカーがあることが当たり前の生活を送っていたんですね。失って初めて気づくといいますか、実際サッカーのない生活が初めてで、いてもたってもいられなくなって」。夜になれば社員寮の周辺を走ったり、休日には近くの学校でサッカー部に混じってボールを蹴らせてもらうこともあったのだという。「もう一度、サッカーの舞台に戻りたい」。周囲は大反対したが、1年でサラリーマンを辞めることを決めた。
「選手としては厳しいので、指導者を目指そうと。でもプロの指導者はやはり選手からなる人が圧倒的に多いので、僕みたいにプロ経験がない人がプロの指導者になるのは厳しいと思った。じゃあ、学校の先生になれば部活という手があるよなと思ったんです。単純ですよね」
だが教員を目指そうにも、高校、大学とサッカー推薦で入り、がむしゃらにサッカーだけを続けてきた。「先生はからかう対象だと思っていた」と話す男が、教員免許を持っているはずもなかった。「親も周りも大反対で。勉強もしたことないやつが先生なんてどういうことだ、と」。しかし決意は固く、3年で念願の教員免許を取得。横浜創英高に社会科教師として赴任した。
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