[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:自分の中の“おまもり”(新潟明訓高・田中健二監督)
ゲキサカ / 2016年12月22日 21時43分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
終盤に負った1点のビハインドを返せないまま、チームの敗戦を告げる試合終了のホイッスルをテクニカルエリアで聞く。2年連続であと1勝まで迫ったプレミアへの壁は越えられなかったが、戦い方を伝えた選手がそれを的確に実行し、自分も冷静に指揮を執ることは間違いなくできた。「以前はこんな舞台で戦えるなんて想像していなかった」という田中健二はチームの成長と同時に、自身の確かな成長を広島の地で改めて実感していた。
富山一高や星稜高が相次いで冬の日本一に輝くなど、近年はメキメキと全国規模でその存在感を高めている北信越の高校サッカー。中でもプリンスリーグに5チームを送り込んでいる新潟のレベルアップは目覚ましい。昨シーズン、今シーズンとプレミアリーグ参入戦の出場権を得られる北信越の2枠はいずれも新潟のチームで占められており、2年続けてその枠を確保したのが田中率いる新潟明訓高だ。リーグ2位で臨んだ1年前の参入戦は、尚志高を3-2で下したが、横浜F・マリノスユースには0-3と完敗を喫し、プレミア参入には届かなかったものの、田中は「各地域の代表というプライドをみんなが持ってきてワンチャンスを狙って、負けて涙を流したりとか、本当に上がれるか上がれないかの部分なので、これはちょっと選手権とは違うな」という感覚を得た。ほとんど主力の入れ替わった今シーズンも、「今年は難しいなと思っていたのに、選手が日に日に伸びていくので不思議ですよね」と首を傾げて笑ったチームは堂々たるプリンスリーグ制覇を達成。北信越王者として再び参入戦の舞台に帰ってきた。
「選手権予選で負けていたので、この舞台に関しては200パーセントでやらせたかった」という覚悟で挑んだ参入戦。初戦で浜松開誠館高に1-0と勝利したチームは、その一戦で相当なダメージを受けていたため、田中も「自分の本当にやりたいサッカーとは違う部分もあるけど、去年の教訓も凄く生きて、私の経験値が上がった分だけ冷静にやれた」と振り返ったように、勝てば昇格となる阪南大高戦は少し守備ブロックを築きながら、一刺しを狙う戦い方を貫き続ける。延長戦まで視野に入れた一戦は後半30分の失点が最後まで響き、0-1でタイムアップを迎え、またも昇格には一歩及ばなかったが、「カウンターを狙っていると相手もわかっている中で、ある程度ゴール前まで行けた部分はこの1年間でなかった部分ですし、そこは選手権で負けてからずっとトライしてきたことなので、それは出たかなと思っています」と手応えを口にした田中は、「『新潟県人もやればできるんだ』と。『通用したよ』という部分は最後に生徒へ言ってあげようかなと。人生の中でこの舞台は凄く大事な経験だと思いますから」と続ける。新潟明訓の参入戦は、悔し涙と得難い経験を携えて幕を閉じた。
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