「ゴールはイメージ!」「練習で自信をつけろ!」 3年連続得点王の大久保嘉人が、鵬翔FW宇津元と京都橘FW梅津にフィニッシャーとしての極意を伝授

ゲキサカ / 2017年3月23日 12時30分

大久保嘉人が鵬翔高のFW宇津元伸弥と京都橘高のFW梅津凌岳を指導

 日本の得点力不足を解消するために“フィニッシャーをつくりあげる”ことを目的に、『JFA Youth & Development Programme(JYD)』事業の一環としてNIKEが今春開催した『LETHAL FINISHER MASTERCLASS』は、よりハイレベルなフィニッシャーとなるため、サッカー選手として自信が持てるようになるための4日間となった。

『LETHAL FINISHER MASTERCLASS』は19日に最終日を迎え、鵬翔高のFW宇津元伸弥と、京都橘高のFW梅津凌岳が最後のトレーニングに臨んだ。これまで元日本代表FWの久保竜彦氏や、風間八宏監督(名古屋グランパス)、FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)をゲスト講師に迎えて行われてきたが、集大成となる第4回は、2013年から3年連続でJ1リーグ得点王に輝き、現在、J1通算最多得点の記録保持者であるFC東京のFW大久保嘉人がゲスト講師を務め、2人にシュートに対するこだわり、フィニッシャーとしての極意を伝授した。

 トレーニングは、これまでの総復習となった。動くスペースを制限された中で、マークされた相手を動かし、パスを受けてシュートを決めるトレーニングや、味方のダイレクトプレーにタイミングを合わせ、守備ラインを突破してフィニッシュに持ち込むトレーニング。さらにこれらを生かして1対1や3対3、4対4とより試合に近いトレーニングを行った。その中で大久保は、何度も2人に話しかけ、一つ一つのプレーに対して身振り、手振りを交えて指導。気になったことを細かく指摘していた。

「(ボールを)受けるタイミング」を意識しながらトレーニングに取り組んだ宇津元は、大きな声を出し、ハッキリした動き出しでパスを呼び込み、力強いシュートを何本も打ち込んだ。それでも、シュートを打った際に体が流れてしまうと、大久保から「キーパーを見るときはボールを受ける前。決断は早く。あとはイメージ。目がボールから離れているから、ゴールのことしか考えていない。どうボールをちゃんと蹴るか、そこだけを考えて」と注意された。「それまでの自分は無理な体勢からでもシュートを強引に打つということを意識していました。自分のフォームを作ることによって、もっとゴールを確実に決めることができると教えてもらったので、そういうところをもっと意識してやっていきたいです」と新たな発見もあったと話す。

 高いテクニックを持ち合わせる梅津は、「いつもだったらパスを選択して、確実に行こうかなと思うタイプですが、今日はシュートを打つことを意識してやりました」と語るように、積極的に相手を剥がしてシュートを打つ場面が何度も見られた。さらに「一番苦手だった」という動き出しでは、悩みながらも色々なパターンを実践し、自分の中でなんとなく感覚を掴めるまでになっていた。それでも、「スピードを上げずにサッカーをすること。そうすると視野も広くなるし、トラップもしやすい。動きすぎず、相手に隠れてしまったと思ったら、止まってボールを受ければいい」と大久保からアドバイスされ、「(パスを受けるために動くことで相手に隠れて)消えていたのは、自分でもわかっていますが、止まることができませんでした。もっと意識しないといけないと思いました」と真摯に“金言”を受け止めていた。

 大久保は、自身のシュート練習では“バランス”を意識しているという。「バランスが崩れれば力は伝わりません。ボールが動いてるからシュートを打つときに(体が流れて)アウトサイドになってしまう人もいる。そうならないためには、先にそこに入ってドンと打たないといけません。本当にバランスというのはシュートのときに大事です」と力説。また、「ゴールはイメージです。練習で高めていくしかないです。それを試合でやるから自信がつきます」と話し、「とりあえず、努力ですね。人一倍練習する。それに尽きます。それで自信をつけていく。プロである俺たちも一緒なんで。それをやらないことには何も始まりません」と、2人を含めた全国の高校生たちにエールを送った。

 これで4日間のすべてのプログラムが終了。フィニッシャーとしての風格がでてきた宇津元は、「最初は自分の特徴である抜け出しをどう生かすかだけを考えていました。でも、4回のトレーニングを終えて、自分に足りないところがたくさん見つかりました。特徴よりは自分に足りないところをしっかり修正することが大事だと思いました。自分にとってプラスになったと思います」と振り返り、シュートへの意識が高くなってきた梅津も、「もっとシュート練習をやると思っていましたが、どちらかというとそこまでの過程、そのシュートに行くまでにどう動くか、トラップするかということを教えてもらいました。それはフォワードだけじゃなく、他のポジションでも言えることなので、すごく勉強になりました」と大きな収穫があったようだ。

 また、2人は第1回から鈴木友規アスレティックトレーナーと共にフィジカルの改善にも取り組んできた。動きの切り替え時に肩に力が入ったり、必要以上に踏ん張ってしまう点を指摘された宇津元は、鈴木トレーナーから与えられた課題をこなすことで、自分自身では自覚はないものの「変わってきているぞ」とチームメイトに言われたという。また、方向転換などで地面に足がついた際に姿勢が崩れるところの改善を求められた梅津も、「実感はないですけど、ターンがスムーズになっているとか、切り返すときに力が抜けているとか、それが早くなったと言われました」と変化があった様子。今後も「もっと良くなるように続けていきたい」(宇津元)、「フィジカル的なこともそうですが、相手を外すこととか、考えながらプレーすることとか、止める・蹴るというところをこれからもずっと大事にしていきたいと思います」(梅津)と、継続していくことを誓った。

 これから2人はチームに戻って、4月から始まるプリンスリーグに向けて調整を進める。昨年(8得点)の約2倍にあたる15点以上を目指すという宇津元は、「自信につながったので、もっと成長できると思います。自分が要求したことを仲間に伝えることで、意思疎通やコミュニケーションが深まってくると思います。自分がどこに出してほしいかを練習から要求し続けてやっていけば、プリンスリーグで自分が思うようなプレーができると思うので、そこを重視してやっていきたいです」。フィニッシャーとしてチームを勝利に導き、チームメイトと共に更なる高みを目指していくつもりだ。

 また、梅津は『LETHAL FINISHER MASTERCLASS』に参加したことでこれまで持っていたサッカー感が変わったという。そして、チームメイトも第3回で柿谷と『NIKE ACADEMY』のトレーニングを体験したことで、「シュートの意識、前へ行く意識が高くなったと思います。その後何試合かありましたが、結構全部良くて。チーム状況は良くなっていると思います」と、チームとしても得点への意識が高くなってきた。今後は、個人として「見るのを増やすこと、考えること。その考えたイメージしたことをできる技術、トラップ、キック」を高めていき、チームとしては「(プレミアリーグに)昇格したいですね」と堂々と宣言した。

 2人の表情は第1回目とは明らかに違う。Jリーグや国際舞台でゴールを量産してきた選手たちや、Jリーグを代表する指揮官とのトレーニングによって課題が浮き彫りとなったが、自分自身の才能・可能性に気付くことができた。今回の『LETHAL FINISHER MASTERCLASS』で成長へのヒントを得たが、あとはこれをどう続けていくかが重要だ。2人が目指すプロのステージにたどり着くことは簡単なことではない。この先も何度も壁にぶち当たり、思い悩むことはあるだろう。それでも、このトレーニングで体感したことを生かして、日々の練習で自分のスタイルを磨き続け、それを“自信”に変えてチームを勝たせる――。彼らがフィニッシャーとしてどれだけ得点を取り、いかにチームの中心として活躍するか期待したい。

(取材・文 清水祐一)

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