[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:10番が象徴する“今年のチーム”(実践学園高)
ゲキサカ / 2017年4月27日 21時15分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
青いユニフォームを纏ういつもの彼らであれば、最終ラインでキャプテンマークを巻いているはずの“10番”が、最前線で躍動している。「今の所はキャプテンじゃなくて、彼が10番を付けているということが、今年のチームを象徴しているんじゃないかなと思います」と話すのは内田尊久ヘッドコーチ。実践学園高が創り上げている“今年のチーム”は、少し例年とは異なる形でその歩みを進めているのかもしれない。
4月22日。関東大会予選東京準々決勝。大雨の中で行われた初戦で大成高を延長戦の末に2-0で下し、昨年度の関東大会出場校でもある成立学園高との2回戦にも2-1で競り勝って、ここまで駒を進めてきた実践学園。この日の相手となった早稲田実高も各所にタレントを擁した好チームであり、前半からシュート数では早稲田実が上回る展開に。後半も実践学園は押し込まれる時間が続く。そんな流れを一掃したのが「自分は先週の成立戦の時に点を取っていたので、周りの応援してくれているみんなにも『今日も頼むよ』と言われていて、前半はシュートを打てなかった分、後半は『決めてやろう』という強い気持ちを持ってできました」という武田義臣。後半12分に斎藤彰人からのフィードに、いったんは空振りしながらも、最後は粘り強く押し込んで先制点をマークすると、後半22分にも山内稔之が放ったシュートのこぼれをきっちりプッシュして追加点。“10番”を背負うストライカーの2ゴールで勢いを得た実践学園は、4分後にも高須史弥が3点目を記録。1点を返されたものの、3-1で勝利を収めて準決勝へと勝ち上がることとなった。
2度目の選手権予選制覇を成し遂げた2012年は鴻田直人。2013年は栃木SCに在籍している福岡将太。2014年は山下浩二。2015年は海老名優作。そして2016年は齋藤翔。『心で勝負』をモットーに掲げる実践学園の“10番”は、基本的にキャプテンを任されたセンターバックが付けてきた。以前、チームを率いる深町公一監督はその理由をこう語っていた。「ウチの10番は“心”の部分で信頼できる選手に代々託してきているんです」。試合後に応援してくれた保護者や関係者の前に整列し、全員で一礼する前に“10番”が発する短い挨拶を聞いているだけでも、彼らがキャプテンを託されるだけのモノを持っているのは一目瞭然だった。これはいわば実践学園の“伝統”と言い換えてもいいだろう。
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