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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:マイ・ウェイ(昌平高・古川勇輝)

ゲキサカ / 2017年7月1日 10時51分

昌平高MF古川勇輝

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 小学生時代の思い出を話していた時のこと。「バルサ相手に2点決めて活躍したこともあったんです」。その左利きの高校生は衝撃的な言葉をさらりと口にした。テレビゲームの話ではない。れっきとした公式戦での話だ。小学校4年生からの4年間をスペインの地で過ごした17歳は今、埼玉を代表する強豪校で主力選手として躍動し始めている。

 最初にそのプレーを見たのは関東高校サッカー大会の準決勝。埼玉王者として大会に臨んでいた昌平高のボランチを任され、前半から存在感を放っていた古川勇輝は後半に爆発する。先制ゴールのアシストに続き、自らもミドルシュートを叩き込むと、アディショナルタイムにもエリア内まで飛び込み、チームの3点目を記録。ただ、それまでの献身的なプレーもあってか、シュートの瞬間に足が攣って派手に倒れ、これにはベンチのコーチングスタッフも大爆笑。絶対的な守護神としてチームメイトの信頼も厚い緑川光希も「僕も隠れて笑っていました」と素直に明かす。そして試合後。いろいろな意味でインパクトを残した古川について、藤島崇之監督からこんな一言が発せられた。「アイツ、スペインにいたんですよ」。本人にそのことを尋ねたところ、「サッカー留学で小学校4年生から中学校2年生までスペインに行っていました」と笑顔で認める。聞けば古川は高校2年生にして、かなり特殊なキャリアを歩んできていたのだ。

 もともと通っていた小学校の少年団に在籍していた古川は、その練習が土日に限定されていたこともあって、柏イーグルスTOR’82でも並行して活動するようになる。当時のライバルはイーグルスのチームメイトでもあり、現在は三菱養和SCユースでプレーしているU-17日本代表の中村敬斗。2人とも“飛び級”で上の学年のチームに入るような状況の中、揃って柏レイソルU-10のセレクションを受けたが、「最終選考まで行って『絶対に入れる』と思っていた」古川を待っていたのは、中村の合格と自身の落選という対照的な結果。9歳の少年は厳しい現実を突き付けられる。

 その悔しさをどう力に変えるかを模索している内に、自身のさらなる成長のため、「バルサが好きだったこともあって、スペインのサッカーを体験したいという想いがあった」という古川の意志を両親も尊重。度重なる家族会議の結果、それまでにも4度の短期留学を敢行していたスペインでプレーすることを決意すると、2か月ほど現地に行ってトライアウトを受け、所属チームを決めて再び一時帰国。お世話になった少年団のチームに県大会優勝という置き土産を残し、2010年8月に母親と妹の3人で古川はバルセロナへ移住することになった。

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