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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:特別な日(三菱養和SCユース・加藤慎太郎)

ゲキサカ / 2017年7月13日 19時55分

 1年が経ち、2年が経った。4度あったチャンスが終わっても、約束が実現する日は訪れない。普段からも頻繁に連絡は取り合い、宮崎が帰京した際には加藤も毎回食事を共にするなど、密な交流は続いていたものの、そもそも全国トップレベルの精鋭が集う前橋育英で、公式戦に出るというハードルは並大抵の高さではない。ケガもあってなかなか出場機会を掴み切れない宮崎は、全国準優勝に輝いた2年時の選手権もスタンドから見守ることになる。気付けば残された高校生活はあと1年余りになっていた。

 そんな宮崎がようやくチャンスをモノにしたのは、新チームで臨んだ今年の新人戦。持ち前の体の強さを買われてスタメンに抜擢されると、ゴールやアシストという結果を残し、チームの優勝に貢献する。当然その活躍は“親友”の耳にも入っていた。2月の西が丘。「鴻が注目されているらしいですけど、ちょっと悔しい想いはありますね」と言いながらも、どこか嬉しそうだった加藤の口調が印象に残っている。

 新シーズンのプリンス関東の日程が発表される。1巡目の会場は三菱養和会調布グラウンド。慣れ親しんだ巣鴨ではなかったが、それでも2人が何度も同じボールを追い掛けた思い出の場所であることには違いない。おぼろげになりつつあった“2年越しの約束”の輪郭は、急速にその鮮やかさを増していく。

 2017年7月8日。加藤と宮崎にとって『特別な日』がやってきた。「上原と宮崎鴻はここ出身だから、『もう絶対スタメンだ』と言っていて(笑) それは絶対スタメンでしょう」と笑った山田耕介監督の粋な“アシスト”もあって、同じく古巣対決となった上原希と共に「試合前から慎太郎とは連絡を取り合っていて、『2年間お互い頑張ってきてやっと出れたので、全部出し切ろう』と言っていました」と明かした宮崎は前橋育英のスタメンとしてグラウンドに送り込まれる。

 両チームの11人がピッチの中央に整列し、一礼した後に握手を交わす。「最初整列した時に『ああ、鴻が違うユニフォーム着てるな』って思って、ちょっと涙目になったというのは正直な所で、昨日一昨日からずっと連絡を取り合っていて、バチバチ勝負しようということで凄く楽しみな一戦でしたけど、試合前から鴻が前育のユニフォームを着て、養和のグラウンドにいるというのは不思議な感じしかなかったです」と加藤。湧き上がってくる感傷を必死に抑え、2人はキックオフのホイッスルを別々のユニフォームを纏って聞く。

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