アメリカ・サッカー留学の可能性 IMGアカデミーの最先端トレーニングに迫る Vol.1
ゲキサカ / 2017年7月26日 7時15分
―何か欠けている、ということですね?
「“技術がある=良い選手”とはならないんですよ。日本人には上手い選手はたくさんいるけれど、良い選手ばかりかと言うとそうじゃない。ピッチで気持ちを出して、自分を表現できるかどうか。特に育成年代では個々の能力よりもチームで機能することが大事だったりしますから、自分がどこでボールが欲しいのか、何が得意なのかを分かってもらわないといけない」
国際的な環境にあるキャンパスには世界85か国から選手が集まっている
―短期キャンプや長期留学に参加した日本人の感想としては、外国の選手たちは練習中でも足を削ってきますし、積極的なプレーが多いようですね。
「実際の試合では、そういう状況でプレーしますからね。練習の段階で飛び込んでいけないなら、ゲームでいこうと思ってもできない。練習のための練習ではなく、試合で活かすための練習ができるかどうか。戦う意思が足りていないという声は、A代表でもよく聞かれます。僕がドイツでプレーしていたときはむしろ練習の方が(当たりが)激しかった。練習中から技術的なものだけではなく、どれだけゲームを意識してやれるか。やっぱり育成年代からそれが“当たり前”になっているかどうかが大事なんでしょうね」
―なるほど。
「もう一つ、選手の問題ではなく、練習環境の違いも大きいです。日本なら、ほとんどの場合は土か人工芝で練習するので、たとえばスライディングがヘタクソだとか以前から言われています。IMGアカデミーは恵まれていますよ。すべて天然芝で16面もフィールドがありますから、常に試合を想定できる環境です」
16面のサッカーフィールドのほか、55面のテニスコートなど、合わせると東京ドーム50個分以上になる広大なキャンパス
―環境が恵まれすぎている、ということはないですか? ハングリー精神が磨かれないとか、工夫が生まれないとか、マイナスな部分はないでしょうか。
「そこは問題ではないです。本人が意識を持ってトレーニングできるか、なので。意識があっても、それを活かす環境がなければどうしようもないですから。自分次第でいくらでもできる環境があるのは素晴らしいです。ただ、“自覚を持って取り組ませる”というのがなかなか難しいかもしれないですが……」
―コーチのあり方も問われますね。
「練習を見ていて子供に対するアプローチの仕方は違うと感じました。日本では基礎技術をとにかく徹底的に教え込むので、足元が海外の子より上手い選手が多い。ただ、サッカーはボールを持っていない時間の方が多いので、状況を読んで動いて、どうポジションを取るかが大事です。基本的な理論は教えられますが、やっぱり自分で考えて行動することを養わないといけない」
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