『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:変化(駒澤大高・米谷拓海)
ゲキサカ / 2017年9月24日 22時3分
すると、後半もアディショナルタイムに差し掛かった頃、駒澤に千載一遇の先制機が到来する。一旦はCKをキャッチした相手GKのキックが何と味方に跳ね返り、あらぬ方向へ。素早く反応した米谷は、そのボールを無人のゴールへ流し込む。結果としてこれが決勝点。残留に向けても大きな勝ち点3の獲得に、「『ヤツが取るかな』と最後の最後まで取っておいて、残り15分くらいで出したら、そのへんもピタリと当たりましたね」と大野監督もニヤリ。“最後の3年生”の一撃で、気まぐれな勝利の女神は駒澤に微笑んだ。
試合後。話を聞こうと殊勲のヒーローを待つ。前回言葉を交わしたのはちょうど半年前。その時の印象と、直前に聞いた大野監督の「とにかくマジメなんですよ。マジメ過ぎて」という言葉がシンクロする。丁寧な挨拶を経て、ゲームのことを振り返ってもらいながら、ゴールシーンに言及するとわずかに米谷の表情が和らぐ。「あれはよくわからなかったんですけど、たぶん相手のキーパーのキックが当たって、たまたま自分の所に転がってきたので、それに素早く反応して決められたことは良かったと思います」と少し笑ったが、「マグレとかじゃなくて、流れの中でクロスから決めたり、自分で押し込んだり、そういうバリエーションも増やしていけたらと思います」とすぐに自ら“軌道修正”を入れる。
全国ベスト8を知るほとんどの主力が卒業した上、その全国を経験した西田直也と齋藤我空の両センターバックがケガで離脱していたため、今シーズンの序盤はフォワードを本職としている米谷が最終ラインの中央を任されていた。「いきなり『やってみろ』と言われて、最初は『できるかな?』と不安だった」中でも、「やってみないとわからないこともありますし、ディフェンスの心情を考えながらプレーすると、フォワードとしても生かせる部分があると思うので」センターバックに入ったが、慣れないポジションを務めていた上、チームをまとめようとする想いが強過ぎるあまりに、少しずつ米谷のメンタルは追い込まれていく。
夏前にはポジションこそフォワードに戻ったものの、自身を溜め込むタイプだと分析している彼は「1人で“リーダー”をやっていたので、やっぱり部員の人数の多さとか、期待とかプレッシャーが大きくて、正直な所を言うと夏は人生で一番ツラいくらいだった」という。また、トップチームの3年生も定位置を掴み切れない選手が多く、「みんな気持ちが落ちちゃっていた」そうだ。
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