「スポーツライター平野貴也の『千字一景』」第68回:背番号の力(昌平高校、古川勇輝)
ゲキサカ / 2018年3月24日 12時24分
“ホットな”「サッカー人」をクローズアップ。写真1枚と1000字のストーリーで紹介するコラム、「千字一景」
もうすぐ年度替わりを迎える。学生選手にとって、進学や進級は新しい自分になるチャンスだ。3月半ば、東京で行われた国際親善大会のイギョラ杯で優勝した昌平高のMF古川勇輝は、苦笑いで自己評価を下した。
「今の段階では7番を背負わせてもらっているんですけど、その重みに負けている。歴代のすごい選手たちに比べて、まだまだ足りない部分が多いです」
7番は、昨季はチームの中心だった山下勇希(東洋大へ進学)、一昨年には針谷岳晃(磐田)が付けていた、エースナンバーだ。昨季、14番を付けた古川は主戦力の一人として期待を受けていたが、選手権では控えに回った。ロストの少ないドリブルや、動きながらのパス交換が上手く、中盤のどこでも潤滑油になれるが、一方で相手に与える脅威を少し欠く印象もある。課題は自覚している。だから、7番を与えられるとは思っていなかった。
「僕も含めて、みんな、7番は(選手権で先発出場した)原田虹輝が付けると思っていたんです。新人戦で僕が7番で呼ばれたのは、サプライズみたいな感じでした」
憧れの先輩と同じ番号を付けられる喜びは、大きい。しかし、同時に新たな気持ちが沸いて来る。
「山下君も針谷君もアシストができるだけじゃなくて、ミドルシュートがあって、FKのキックも持っていた。僕はミドルがまだ得意ではないし、セットプレーのキッカーでもない。運動量で少しでも差を補って、ボランチでも前に出てゴールに絡む積極性とか、守備の貢献度が必要。ミドルは、バルセロナのコウチーニョ選手みたいに、得意なコースを見つけて磨けば武器になると思うので練習しています」
7番の責任感が、自己改革を促している。イギョラ杯の決勝戦で、古川は積極的にシュートを放った。何度も相手にブロックされたが打ち続けた。
「7番を付けるなら、自分が何か仕事をしなくてはいけない。一番、チームに貢献できるのはゴール。だから、決勝は狙って行こうと思っていました」
今季の昌平は、全国上位の実力を有している。ただし、準決勝も決勝も無得点でPK戦による勝利。埼玉県の新人戦も準々決勝で足をすくわれた。攻め切れずに敗れる負けパターンもある。
「いつもの負けパターンにせず、どうやってチームを救えるか。自分が一歩前に出て、ゴールを決めて救えるようになりたいけど、まだ到達していない」
チームを勝たせる7番になれるか。喜びと責任の大きな番号が、古川を変えようとしている。
■執筆者紹介:
平野貴也
「1979年生まれ。東京都出身。専修大卒業後、スポーツナビで編集記者。当初は1か月のアルバイト契約だったが、最終的には社員となり計6年半居座った。2008年に独立し、フリーライターとして育成年代のサッカーを中心に取材。ゲキサカでは、2012年から全国自衛隊サッカーのレポートも始めた。「熱い試合」以外は興味なし」
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