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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:二回り目の“千両役者”(FC琉球・播戸竜二)

ゲキサカ / 2018年3月29日 20時19分

「一応“中”で体を動かしながら、最後に選手が出る前にはロッカーにいて、オレが前半思ったことと、後半に向けて思うことをみんなに伝えてた。もしそれで言ったとしても、『いや、そういうのは言わんといてくれ』とか『それは自分たちの仕事やから』というのはこのチームに全然ないから。スタッフもいろいろな意味で受け入れてくれている所があるから、オレとしても言いやすいし、話もしやすいし、みんなも素直やからそれで聞いてくれるしね」。すべては勝利のために。チームを取り巻く雰囲気の一端が、この話からも窺える。

 後半23分。播戸がベンチに呼ばれる。「今日も1-0で出る時に、『もう1点行くんだ』という所で送り出すとそういうサッカーを、2-0になると、今度は2-0のサッカーを理解して、だいたいベンチで思っていることを彼が具現化して、チームをコントロールしてくれる」と厚い信頼を口にしたのは琉球を率いる金鍾成監督。「常に監督とは会話もしているし、オレも思うことは結構伝えているし、監督もそれに対してリスペクトしてくれるからね。この年齢になって、良い信頼関係を築けている監督とやれるのは幸せやし、『さらにチームの力になりたいな』とか『この監督の力になりたいな』と思うから、サイクル的には凄く良いサイクル」と指揮官との関係に手応えと感謝を感じている播戸が、おなじみのランニングフォームで緑の芝生へ走り出す。

 後半34分。琉球のチャンス。富所がエリア内へスルーパスを繰り出すと、鋭く反応したのは11番。「『届くかな?追い付くかな?』と思ったら、案外オレが速かったんか、相手が遅かったんかわからへんけど、オレが先に触れて、後ろの声も聞こえたから、ちょっとコケながら」懸命に落としたボールを、枝本雄一郎がゴールネットへ流し込む。「ゴールももちろん嬉しいけど、監督もああやって20分、30分と時間を与えてくれる中で、個人としてもどういうふうにチームを持って行ったらいいか、というのを考えながらやっているし、そういうのんも含めてアシストがああやってできたのは凄く良かったし、それでまた勝てたのは良かったかなと思う」と話す播戸のアシストで追加点を手にした琉球は、そのまま2-0で白星を奪取。第4節終了時ではあるものの、首位へと浮上することになった。

 勝利に沸くアウェイゴール裏で、“カチャーシー”を踊りながらサポーターと喜びを共有する播戸。思い起こせばミクスタの試合後。ヒーローインタビューを終え、1人で向かったアウェイゴール裏でも、自身の代名詞とも言うべき『1、2、3、バーン!』を何度も繰り返し、“カチャーシー”を舞う播戸の姿があった。その姿、まさに千両役者。「もちろん自分が楽しいからやっているのもあるけど」と前置きしながら、「やっぱり選手は行った所、行った所で愛されなあかんから。それでサポーターも選手もお互いを高めていってというのが一番やから」と続けた言葉に、20年近い現役生活で培われたプロ意識が垣間見える。

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