[MOM2541]瀬戸内GK井上大也(2年)_あの時、と同じ方向へ。全国引き寄せたPKセーブ
ゲキサカ / 2018年6月10日 22時40分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.10 総体広島県予選決勝 瀬戸内高 1-1(PK5-4) 広島皆実高 広島広域公園第一球技場]
瀬戸内高の安藤正晴監督が「あのときだけは見ることができなくて、下を向いていた」と振り返ったほどの緊張感に包まれた、広島皆実高のPK7人目。止めれば勝利という状況で、瀬戸内の2年生GK井上大也は、歩いてくるキッカーの田中博貴を見て確信を抱いていた。
「田中博貴くんのことは知っていて、『博貴が来た』と思いました。中学のときに一度、PKがあって、あの方向に蹴っていたのを覚えていたんです」。中国地区の大会で対戦したときのことを思い出し、キッカーに向かって左側に飛んで止め、勝利を引き寄せた。
4人目のキッカー、平山裕也を止めたときは、ピッチ上での冷静な判断が光った。広島皆実は前日の準決勝でPK戦を勝ち抜いており、そのときも4人目で登場してキックを成功した平山のデータから、GKコーチはキッカーに向かって右側に飛ぶように伝えていた。だが井上は「雰囲気や蹴り方を見て、右側には来ないと思った」。自分の洞察力を信じて左に飛んで止め、リードされていた流れをタイに戻して7人目での勝利につなげた。
立ち上がりに先制点を奪った瀬戸内は、後半に入ってゴール前でのピンチが増えた。混戦で懸命に腕を伸ばしてこぼれ球をかき出すなど、井上の俊敏な反応などで何とか封じていたが、残り1分となった後半39分に失点。嫌な流れになったが、「すぐに切り替えて、自分の中で気持ちを整理して臨んだ」という延長を無失点でしのいだ。PK戦では控えGK長谷川智貴など3年生から『頼んだぞ!』と声を掛けられ、期待に応えて勝利の立役者となった。
試合中のセーブやPKストップだけでなく、利き足の左足から繰り出す正確なパントキックで攻撃の起点となるなど、持ち味を存分に発揮してつかんだ全国切符。本番に向けて、厳しいポジション争いも見据えながら「先輩たちと一緒に上位を目指していきたい」と力強く語った。
(取材・文 石倉利英) ●【特設】高校総体2018
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