“J2のベンチ”からACL決勝進出の立役者に…横浜FMの歴史を変えたGKポープ・ウィリアム「自分で切り拓くのがサッカー選手の人生」
ゲキサカ / 2024年4月25日 2時46分
[4.24 ACL準決勝第2戦 横浜FM 3-2(PK5-4) 蔚山現代 日産ス]
ゴール裏の大歓声が42番の背中に熱く向けられる中、万感の思いで繰り出した横っ飛びが横浜F・マリノスの歴史を切り拓いた。
GKポープ・ウィリアムは両チーム成功が続いたPK戦の5人目、元JリーガーMFキム・ミヌのシュートに完璧なパンチングで反応。「ギリギリまで我慢して、自分を信じて、方向を決めて飛ぶだけ。意外にシンプル」。これが両軍キッカーに唯一土をつけるセーブとなり、29歳の守護神がクラブ史上初のACL決勝に導く立役者となった。
データ勝負の要素が強いPK戦だが、ポープは事前のスカウティングよりも、自分の信念で勝ちにいっていた。
松永成立GKコーチからはキッカーのデータを記した紙を受け取っていたというが、試合中のPKでは変化をつけられていたこともあり、「最後はデータよりも自分を信じてやります」と宣言。古巣対戦のMF天野純からも情報は入れ、FWマルティン・アーダームにはデータを活かした駆け引きを見せつつも、最後は自らの決断でキッカーと向き合った。
そんな信念は止めた5本目だけでなく、止められなかった4本目との対峙でも実を結びかけていた。
MFイ・チョンヨンはど真ん中のコースに蹴ってきたが、これは「最近トレンドみたいになっているので、どこかで一人は蹴ってくるだろうなと」予測していたもの。結果的には勢いのあるボールに手が滑ってしまい、「もったいなかった」と悔やむ形になったものの、微動だにせず立ちはだかる姿は、5本目の駆け引きを優位に運ぶのに十分な雰囲気を纏っていた。
またこの日のポープの働きはPK戦だけでなく、展開が目まぐるしく入れ替わる120分間でも際立っていた。データサイト『Sofascore』によると、この一戦を通じたセーブ数は13。エリア内からのシュートを9本も止めており、独自レーティングでは2失点を喫したGKとして異例と言える「10点満点」を叩き出した。
ポープ自身は「ありきたりだけど、来たシュートを止めることしか僕はできないので」と冷静に振り返り、「最後の最後まで粘り強く戦ってくれるチームメートに対し、誠心誠意やらなければならないという気持ちになっていた。頼もしかった」と同僚を称えた。だが、そこで事もなさげに口にした「日頃の積み重ねが本当にこの試合で出たと思う」という言葉からは大きな重みを感じさせていた。
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